1033話(2016年1月16日 ON AIR)
「女のなやみ」

作・

嘉納みなこ(かのうとおっさん)

出演・

平野 舞
坂本隆太朗

  
 

峠の茶屋。お軽が茶団子を食べている。

  
お美代

お軽ちゃん。お待たせ。

お軽

お美代ちゃん。ごめんね、突然呼び出して。

お美代

飛脚が来たときはどうしたかと思ったわよ。

お軽

(店の人に)すいませーん。お茶と団子、2つずつう!(お美代に)どう、最近。

お美代

夜這いが多いわね。

お軽

お美代ちゃん、もてるもんなァ。

お美代

ただ声が・・・どうしても男なのよね。
夜這いに来た男が、あたしを男だと思って帰ることあるからね。

お軽

だよねー。最近は誰がよばってくんの?

お美代

はっつぁんとか、はっつぁんのお兄さんとか、はっつぁんのいとことか。

お軽

はっつぁんとこばっかじゃん。お団子きたよ。食べよ。

  
 

二人、お茶をすすったりする。

  
お美代

で?

お軽

えっ?

お美代

何を悩んでるの?

お軽

実は・・・。忠(ただ)ちゃん、ほかに女がいるかも。

お美代

忠助さんに?あの、両替屋の手代の?

お軽

こないだ忠ちゃんとこ遊びいったら、こんな手紙が。

お美代

(読む)忠助さんへ。こないだの稲荷神社、楽しかったね。
今度は二人で会いたいな。おしげ。

お軽

怪しくない?

お美代

そうね、このおしげは、忠助さんに気がありそうだけど、
忠助さんがどうなのかが問題よね。

お軽

こんな文もあって・・・。

お美代

先日はすっぽん、ごちそうさまでした。
忠助さんにあんな一面があったなんて、驚き。かっこ、笑い。おひさ。

お軽

どんな面を見せたの、忠ちゃん!

お美代

忠助さん。ややができました。あなたの子だと言わずに産みます。
来世では結ばれたい。おとみ。

お軽

忠ちゃんの浮気もの!!

お美代

忠助さん、お盛んねえ。

お軽

忠ちゃんを呼び出して、問いただすわ!

お美代

やめときなさいよ。そしたらあんたが勝手に文みたこともばれちゃうし、
面倒な女だと思われて、祝言が遠のくわよ?
あんたもう18よ?忠助さん逃したら、後はないわよ?

お軽

でも~!このままじゃもやもやするわよ!!

お美代

がまんしなさいよ。

お軽

できない~!

お美代

そんな時はね、念仏を唱えるのよ。

お軽

念仏?

お美代

そう。そうすれば心が不思議と静まるわ。

お軽

いやいやいやいや。

お美代

じゃあ唱えてみなさいよ。

お軽

南無妙法蓮華経・・・。南無妙法蓮華経・・・。
(ちょっと落ち着いて)南無妙法蓮華経・・・。南無妙法蓮華経・・・。

お美代

どう?

お軽

・・・落ち着いた。

お美代

でしょ?

お軽

すっごい不思議。

お美代

私も昔、結婚すると思ってた男が、突然別の女と結婚した時、1万回唱えたわ。
すると心に仏が生まれて心がやすらかになったものよ。
その時確信したわ。女のもやもやには読経がいいと。

お軽

さすがお美代だわ。

  
 

お寺の鐘がなる。

  
お軽

いけない、もう六つ時だわ。帰らなきゃ。今日、忠ちゃんと逢引きなんだよね。
じゃあね!

お美代

さよなら~

  
 

カラスがひとつなく。終わり。