1053話(2016年6月4日 ON AIR)
「ちいさな星崎先輩」

作・

たみお

出演・

平野 舞
大熊隆太郎

  
 

タイトルコール

  
ちいさな星崎先輩。 

  
 

物語の始まり。とてもちいさなこそこそ声

  
ねえ。君、僕のことを見てよ。

・・・

ねえ、君ってば、こっちを見てよ。僕だよ、君に話しかけてるのは。

・・・あっ。

そうだよ。僕さ。

ああ・・・

うん、小さいよね。そんな顔しなくっても充分わかってる。

あああ・・・!星崎先輩!!

やあ。あっ。そっと。そっと頼むよ。そうだよ、僕ってつまみたくなるよね。
あ、首はやめて。ほらここ、背中につまみがあるでしょう。
そこがいいよ。そこは痛くない。

おお・・!(まだ驚いてる)

ふう。君の手に乗った僕。手乗り星崎。かわいいな。(自嘲気味に)

先輩、こないだよりもっと小さくなってる・・・!

うん。実はそうなんだ。一回りかふた回りくらい小さくなったよね。

いったいどうして・・・

それは僕にもわからない。困ったもんさ。へへ。

へへって。こないだはヌイグルミサイズだったのに。

そのときまだ僕大きかった。

どうするんですか!

うん。どうしようか。

あ、先輩のお母さまは?お母さまはなんて?

昨日マッチ箱買ってきてた。僕のベットにって。

へええ・・・

あの人は鉄の女さ。

どうしたら、どうしたら元にもどるんだろう・・・

困ってる君を見てると僕妙に落ち着くな。

真剣に考えてください!

うん。いや、もう戻らないだろう。僕は日に日に小さくなってゆく。
来週はもうゴマ粒ぐらい。やがて原子レベルにいきつきミクロの旅をする。

そんな!

これが現実さ。・・・それでね、僕は、もう誤魔化すのは止すことにしたんだよ。
・・・僕ね、君のことが好きなんだ。

えっ

好きさ。ずっと。出会ったときから好きなんだ。キスしたい。

あ、あの・・・

キスしていいかい。
やがて、原子レベルに行き着く僕は、君という物体をとらえられなくなる。
今の僕が、君の唇を感じられる最後のサイズさ。キスしていいかい。

はい、いいです。先輩、星崎先輩。私もずっと好きでした!(泣きべそ)

うん、知ってたよ。バカなのは僕なんだ・・・。じゃあ、目を、閉じて。

  
 

キスをする。

  
どうでしたか。

太陽みたいだった。

太陽???

うん。君のキスは大きくて、太陽みたいだった。ありがとう。さよなら。さよなら。

  
・・・ちいさな星崎先輩は、その日を界に見えなくなりました。
いなくなったわけではありません。ただ、見えなくなっただけ。
もしかしたら、今も、私の心臓の真ん中あたりで
原子レベルの旅をしているのかもしれません。
ちいさなちいさな星崎先輩。今も好きです。先輩。