1061話(2016年7月30日 ON AIR)

「妊婦のタバタさん」

作・嘉納みなこ
出演・平野 舞
北村 守(スクエア)
産婦人科の待合室
「372番の方、診察室へお入り下さい。」などのアナウンスが聞こえる。
ひとみ
ふう。待ち時間長いなあ。有名な産婦人科だもん。しょうがないか。
タバタ
ねえ、長いわよねえ。
ひとみ
あっ、ええ。
タバタ
やんなっちゃう。あなた、何カ月?
ひとみ
四カ月です。
タバタ
(自慢げ)あたし、五カ月。
ひとみ
そうですか。
タバタ
先輩って呼んだらいいのよ。
ひとみ
・・・あはは。
タバタ
何が「あはは」なの?
ひとみ
すいません。
タバタ
いいの。で?お腹の赤子は、一人?
ひとみ
はい。
タバタ
こっちは、双子。
ひとみ
・・・そうですか。
タバタ
双子って、得じゃない?だって、普通なら最短でも二年かかるとこよ、
二人産もうと思ったら。
ひとみ
はあ。
タバタ
うらやましいでしょ?さぞねえ。
アナウンス
375番の方、診察室へお入りください。
タバタ
(375番が)あたし。あ、あなたお名前は?
ひとみ
佐伯です。
タバタ
覚えた。じゃ佐伯っち、お先!!
ひとみ
・・・何なの?
(心の声)それから五か月後の健診の日。
ひとみ
げっ、またあの人じゃん!
タバタ
(誰かに)あなた、何カ月?二ヶ月??とんだひよっこね!
ひとみ
うわあ。見つからないようにしなくちゃ・・・。
タバタ
こんにちは。
ひとみ
こんにちは・・・。
タバタ
あなた、お名前は?
ひとみ
えっ?・・・佐伯です。
タバタ
覚えた。
ひとみ
ウソ。忘れてたじゃん。
タバタ
何か?
ひとみ
いえ、なんでも。
タバタ
あなた、何カ月?
ひとみ
九カ月です。
タバタ
あたし、十カ月。
ひとみ
はい・・・。
タバタ
ご趣味は?
ひとみ
えっ?映画鑑賞とか・・・。
タバタ
あたし、歌舞伎鑑賞。英検は、とった?
ひとみ
昔、三級を・・・。
タバタ
ほほ。あたし、準二級。海外旅行で行ったことのある国は?
ひとみ
台湾と、韓国にエステに・・・。
タバタ
エステ!!エステ!!せっかくの海外、もっとスペシャルな体験をしに行くべきよ。
あたしはね、カナダと、ノルウェーとフィンランド。
すべてはオーロラを見るために。ほほほ、上!あたしの方がすべてにおいて上!!
ひとみ
この~!! 初めての子供ですか?
タバタ
ええ。
ひとみ
私、三人目です。
タバタ
・・・えっ?
ひとみ
上の子は6歳、下が3歳。
タバタ
なんですって・・・・?!
ひとみ
お産、もうすぐですね。先輩。
タバタ
・・・はい。
ひとみ
大変ですよ、先輩。
タバタ
そ、そうですよね・・・。
ひとみ
まああたしは三人目なんでね、どんなものか知ってますけど。
先輩は初めてでしょうからね。
タバタ
あっ。お腹痛い!!陣痛・・・!
ひとみ
がんばってくださいね、先輩。
タバタ
ああっ!!ヒッ、ヒッ、フー!
終わり。