1062話(2016年8月6日 ON AIR)
「相思相愛の脱走者」

作・

福谷圭祐

出演・

坂本隆太朗
佐々木ヤス子

男NA時は近未来。国民の遺伝子情報はコンピューター管理され、
全ての恋愛は国家の支配下にあった。最適なタイミングで、最適な対象者との交際、
最終的には交配を指定される。全く、ふざけたプログラムだ。

  
 

ドアを開ける音。男が女のいる部屋に入る。

  
あ、どうも。

あ、はじめまして。

いやいやいやいや。

なんか、ね。

緊張しますよね。

ええ。不思議な感じです。

相性ばっちり。

らしいですけどね。

あの、最初に言っておきますけど、僕はこのプログラムには反対なんです。

ああ。

あ、いや、別にあなたの顔を見て、そう思ったわけじゃなくて。

あ、ええ。全然。

むしろ、アレですけど。

私も、本当は嫌なんです。こんなふうに、自分の恋愛の相手が勝手に決められてるのって。
そんなの、自分で決めたいじゃないですか。

ええ、そりゃそうですよ。

いくら遺伝子的に相性ばっちりだからって。

ええ。

あ、いや、別に、あなたの顔が嫌いとかそういうことではないんですけど。

はい。

むしろ、アレですけど。

ああ……。

ええ……。

大体、遺伝子なんかで、決められてたまるかってんですよ。

あたしも反対なんです。今のこのシステム。

我々、初対面ですよ。お互いのことを何も知らない。

ええ。もしかしたら、全然価値観とか合わないかも知れませんもんね。

そうですよ。パクチー好きですか?

あ、苦手です。

ほら。僕、パクチー大好きなんです。結婚するなら、パクチー好きじゃないと。

あの、逃げません?

え?

あたし、実はフリーラブ同盟なんです。

ええ?

このプログラムの反逆同盟。拳銃も持ってます。

  
 

女、拳銃を机に置く。

  
いいですね。逃げましょうか。

お互い、もっと相性のいい、運命の人がいるはずですよ。

ええ。

探しに行きましょう。自分の力で。

よし!

じゃあ、321で扉を蹴破るから、あなたは伏せて右側にいる警備員の足を撃って。

オーケー。

あとは、その場の呼吸で。

ラジャー。

行くわよ。3、2、1!

  
 

女、扉を蹴破る。男、すかさず発砲。

  
うまい!

こっちだ!

あ、危ない!

  
 

男が罠にかかりかけたのを女が助ける。

  
ありがとう。

礼なんか要らないわ。

  
 

女と男、脱走を続ける。発砲音や、女「よっ」男「はっ」などの掛け声を出しながら、
ナイスなコンビネーションで脱走を続ける。

  
男NA時は近未来。
これから僕はこの女と一緒に、自由恋愛を掲げて国家へ立ち向かっていくことになる。
ただ、どうもさっきからコイツとは息が合う。パクチー嫌いのくせに、
顔だって可愛いし、銃を持つ姿は最高だ。……僕はいったい、何と闘っているんだ?

  
  
END!