1065話(2016年8月27日 ON AIR)
「アイスを買って帰る」

作・

合田団地

出演・

平野 舞
大木湖南

  
 

――セミの鳴き声。

  
ちょっと公園寄っていかん?

え? なにすんの?

あかん? ちょっと話したくて

でも、アイス溶けてしまうで

公園で食べたらいいやん

みんなの分は?

みんなの分も食べてしまったらいいやん

いっぱいあるけど、こんなに食べれるん?

食べれるよ。私、アイス好きやし

お腹痛くなるで

私、お腹強いから大丈夫

強いって言ったってなあ

大丈夫

じゃあ、寄って行く?

うん

  
 

――公園。

  
ベンチ座ろうや

うん

アイスちょうだい

なんのやつにする?

チョコのやつ

はい

ありがとう

俺も食べよう

なに食べるん?

バニラのやつ

普通やな

ええやんか

ええけど

なんか暑いなあ

この時間やったらマシかなと思ったけど暑いね。まだみんな寝てるんかな

まだ寝てるんちゃう。昨日、みんな遅くまで飲んでたし

すごいなあ、みんな。体力あるなあ

みんな、なんか知らんけど無茶苦茶はしゃいでて、それ見て俺、なんか感傷的になったんよね

え、なんで?

こんな無茶できるん、今だけやなあって思って。
もうちょっとしたら、こんな無理の仕方できへんくなるんやろうなあって。
だから、みんな、死んだように寝てるんちゃうかなあ

ごめん、起こしちゃって

ううん。起こされたときには、なんとなく起きてたし

あ、そうやったんや

起きてるん気付いてたから、コンビ二行くの誘ってくれたんちゃうん?

ううん

あ、そうなんや

うん

え、じゃあ、なんで?

そんなん訊くん野暮やで

は。どういうこと?

二人きりで喋りたくて。私ら、全然そういう機会なかったやんか。
もう、もしかしたら最後のチャンスかもしれへんし。
だから、勇気出して、寝てるみんな起こさんように気つけながら、コンビ二行くの誘ってん

今まで二人で喋ることなかったもんね

うん

みんな起きてきて、俺らだけおれへんかったら、どう思うんやろな

知らん。みんながどう思うかとか知らん

あいつら、青春みたいなことしとるとか思うんやろか

みたいなことってなんなん

青春っていうような年代でもないやんか

そうかなあ

うん。ごめん。ちょっと公園出えへん

え、なんで?

虫がさ、凄くて。めっちゃ痒い

あ、ごめん。いいけど、アイス、どうしよう

え、アイス?

全然食べきられへんかったし、もうすでにみんなの分溶けてるし

溶けてるアイスとか嫌やろなあ

うん

また、コンビ二戻って買いなおそうか

うん。あ

なに?

好きやねんけど、付き合ってや

あ、いいよ

じゃ、よろしくおねがいします

こちらこそ、よろしくおねがいします

  
  
――終わり。