1095話(2017年3月25日 ON AIR)
「ぼくとばあちゃん」

作・

たみお

出演・

平野 舞
坂本隆太朗

ばあちゃんきみすけさん、あなたここにお座りなさい。

ぼくなんだい、ばあちゃん。すわったよ。

ばあちゃんあなたにひとつお話があります。

ぼくはいどうぞ、なんでしょう。

ばあちゃんわたしくし、かれこれ18年、あなたのばあちゃんをしてまいりました

ぼくそうだね。ばあちゃん。昔と変わらず僕をかわいがってくれている、
感謝しています。ありがとう。

ばあちゃんどういたしまして。

  
 

ふたりおじき。

  
ぼくそれで話ってなんです。

ばあちゃん昨日、あなたのおとうさんとも話をしたのだけれど

ぼくほう。僕のとうさんと。

ばあちゃんきみすけさん、あなた明日からわたしのことを、「きみこさん」と呼ぶように。

ぼくきみこさん?

ばあちゃんばあちゃん、ではなく、きみこさん。

ぼくそのわけは。

ばあちゃんわけなど(失笑)。わたしの名前が、きみこ、だからです。

ぼくそういや知りませんでした。ばあちゃんの名前は、きみこですか。

ばあちゃんええ。

ぼくでは明日からそのように。

ばあちゃんそれから、きみすけさん。

ぼくなんでしょう。きみこさん。

ばあちゃんわたし明日からあなたと同じ大学に通います。

ぼくへっ

ばあちゃん同級生としてどうぞよろしく。

ぼく僕と同じ大学に。

ばあちゃんはい、合格通知。

  
 

紙を出す。

  
ぼく学科まで同じじゃないか!(気付く)あれ、きみこさん、あなた白髪を染めましたね。

ばあちゃんおや、やっと気づきましたか。これで10は若く見えるはず。

ぼく確かに、若返ってみえる。

ばあちゃんふっふっふ。

ぼくわ、きみこさん! あなた、今日のその服、、、

ばあちゃん気づきましたか。 新しいワンピース。これでさらに10は若く見えるはず。

ぼく確かに。それも、似合ってる。

ばあちゃんふふふ。(声も若がっていく) それから、ほら。

  
 

と、箱を出してくる。

  
ぼくなんです、その箱。

ばあちゃんあけてみて。

  
 

あける。

  
ぼく靴だ。

ばあちゃん買いました。

ぼくこのヒール!高すぎやしませんか!

ばあちゃん7センチあります。

ぼく危険だ!

ばあちゃんあら、そんなこと、ないんですよ、
そうだ!せっかくだもの、お散歩にいきましょう!(若返ってる)

ぼく散歩?

ばあちゃん春だもの!

  
 

ばあちゃん、靴を履いてみせる。

  
ぼくば、ばあちゃん!いや、きみこさん、それは随分高いヒールだよ、気をつけて!

ばあちゃん大丈夫。ほら、ね!(完全に若い)

  
 

軽やかな靴音

  
ぼく(見とれて)なんだか、すごく若く見えます。

ばあちゃんそうでしょう。スキップもできちゃうくらい。

ぼくおかしいな、なんだか本当に・・・(若く見えている)

ばあちゃんあ!みて!桜があんなに!きれい。

ぼくきみこさん。(ばあちゃんはクルクルと若く、輝く春にみとれて気づかない。)
きみこさん!

ばあちゃんなあに?

ぼくあ、あの、

ばあちゃんなあに?

ぼく入学・おめでとう!おめでとう!

ばあちゃんまあ!ありがとう。わたしたち、新入生ね。どうぞよろしく!

ぼくは、はい。
こうして、ぼくとばあちゃんは、新しい人生を始めた。
聞きたいことは山ほどあったけど、大丈夫、ぼくらには、時間がある。
ゆっくり語ろう。
だってほら、ぼくらは学生じゃないか。春!

  
  
おしまい。