1105話(2017年6月3日 ON AIR)
「たけのこときのこのラバーズ」

作・

たみお

出演・

平野舞
大熊隆太郎

ない。ないよ、でももうじき吹奏楽の練習始まるし、

だね。先輩が伴奏だしね。

でもどうしよう、これじゃとても。なんなのこれ。

かくゆう僕も、

えっ、肩にきのこ乗せてる。

いや、乗せてない、生えてんだ。

しいたけ、、?

そうだと思う。しいたけだと思う。昨日から生えてんだ。

どうして教えてくれなかったの。

いえないよ! まさかこんなこと。

だよね。

無理だよ。

それで、ちょっと変だったんだ。

それだけじゃないけど。

ごめんね。昨日はピアノの練習忙しくて。

楽譜かわったもんね。

急にね。ちゃんと聞けばよかった、話。今聞くよ。ちゃんと聞く。

・・・あのさ。先輩。

うん?

えっと。

  
 

教室に人が入ってくる。

  
ふたりあっかくれなきゃ。
ひとがたくさん入ってきて、ふたりは机のしたに隠れた。

あれー、ピアノはー?えみー。

ど、どうする?

しー!まさかたけのこ生えてて弾けないなんていえない!隠れて乗り切る!

わかった。

きみは行っていいよ! 帰宅部でしょ。

いかない。ここにいる。

そ、そう。

・・・たけのこの匂いする。先輩の体。

えっ。くんくん。ほんとだ。わたしもね、さっきから君の体からしいたけの。っていうか、

  
 

くんくん

  
ふたりたきこみごはん!

たきこみごはんだ、ぼくたちのにおい!

うん! わたしたち、いいにおい!ってちょっと待っておかしいよ。これすごくおかしい。
おかしいけど、・・・おいしい。

おいしい。

っていやちょっとまって、まだ何も食べてないけど

いやもう鼻の穴で味わってる。

それ! わかる! においっておいしいよね。

うん、おいしい。先輩っておいしい。

き、きみこそおいしい。

肩にしいたけ生えてるけど

わたしなんかゆびさきにたけのこよ。へん! でも、おいしい。

うん。

へんなの。

・・いとおしいってこういうことかな。

へ?

いや、な、な、な。なんでもない。

うん。それで、話って

えみーー。

ふたりしー。

  
 

音楽が始まる。

  
あ、始まった。

なんて曲?

有名なやつ。

ふうん。

それで、なに。話。

うん

しいたけ生えてること以外の。

うん。あのさ。あの。

うん。聞くよ。ちゃんと聞く。

部活が終わったら・・

終わったら?

僕と一緒に帰ってくれませんか。

それだけ?

えっ

それだけなの、なんだ! 帰る。一緒に帰るよ。

どうも。

ねえ。私の話も聞いてよね。

先輩の話?

うん。帰り道に言う。ちゃんと言うから、聞いてよね。

うん、ちゃんと聞く。

  
 

  
はやく終わらないかな、音楽。・・・

  
 

しみじみと両手をみる。

  
ゆびさきにたけのこ。尖ってて、怪獣みたい。

かっこいいよ。先輩は。

ふふふ。へんなの。

  
  
おわり