1106話(2017年6月10日 ON AIR)

「三次会のポーカーくん」

作・ピンク地底人3号(ピンク地底人)
出演・平野 舞
森澤匡晴
扉の開く音。
ただいま
おかえり。
起きてたんだ。ごめんね。遅くなって。
いいよ。どうだった。
うん。なかなか興味深い時間だったよ。実は初めてなんだ。三次会……嗚呼……疲れた……
男が椅子に座る音。
お茶飲む?
うん。お願い。
何が興味深かったの?
そうだね……みんなね、帰らないんだ……結局三次会に残ったのは10人だったんだけど、そのうち3人は寝ていて、他の7人は明らかに顔に疲れを見せながらずっと黙っていた。
三次会ともなると、もはや話すこともないんだよ。でもね。
誰かが「じゃあ……そろそろ」っていうと、みんなが引き止めて……
するとその人も最初は抵抗するんだけど、いつのまにかまた同じ席に座ってるんだ……
はい。どうぞ。
ありがとう。
男はお茶を飲む。
(必要以上にでかい音で)ゴキュっゴキュっゴキュっ……ふぅ。
あなたも引き止めたの?
いや僕は引き止めなかった。なぜなら帰ろうとする人の気持ちがよくわかったからね。
僕もできることなら帰りたかった。
あなたは言ったの?「じゃあそろそろ」って。
言ったね。
そしたら?
ものすごくみんな、泣きそうな顔をしていた。
仲間の一人にポーカーくんってあだ名のやつがいて。
それはつまり彼が驚くべきポーカーフェイスの持ち主だからなんだけど。
その彼がね、泣きそうな顔をして僕を……
それは帰れないね。
でもね。奇妙なのは彼が僕のことをとても憎んでいたということなんだ。
彼はね……どうやら君のことが好きならしい。
え……
初耳かい?
初耳も何も……私、ポーカーくんなんてあだ名の人知らない。
うん。彼は遠目でしか君を見ることができなかったそうだ。
でもある日、僕の彼女の話になって……
それ以来、彼は目の奥に憎悪の炎を灯すようになった……
ふと視線を感じると、常にそこにはメラメラと燃え盛る彼の瞳があったよ……
でも僕が帰ろうとしたあの瞬間だけは違っていた。
彼は多分、僕のことを許してくれたんだと思う。
そう……でもよかったね。三次会で終わって。
うん……
どうしたの?
実は三次会を終わらせたのはポーカーくんなんだ。誰も彼を引き止めようとしなかった。
でも誰かが帰らなきゃ……
わかってるけど……僕は彼に許されたのに、僕は彼に謝れなかった……怯えていたんだ。
彼に君を奪われるんじゃないかって。だからいつも冷たく当たっていて……
後悔してるんだね。彼を引き止めなかったことを。
うん。
大丈夫。その気持ちを次にいかそ。
もしかしたらまた第二のポーカーくんが現れるかもしれない。
その時は多分今以上にポーカーくんのことを考えられる、謝れる、そのはずだから。
……君はモテるからね。
男はお茶を飲む。
ゴキュっゴキュっゴキュっ……ふぅ。
お代わり、いる?
終わり