1111話(2017年7月15日 ON AIR)
「山」

作・

たみお

出演・

坂本隆太朗

ゲスト出演・

土肥希理子

  
 

ゴーーーーと大気の音。

  
ある朝、目が覚めると、眼下に街が広がっていた。

  
 

ゴーーーー。

  
鼻がかゆくて右腕を動かすと、

  
 

ばちっばちちちち。

  
いてっててててて。電線がちぎれた。

  
 

ドシーーーン

  
次に電柱が倒れ、停電し、信号が麻痺、目の前のビルが倒壊した。

  
 

ドシーーン

  
俺の右足で蹴ってしまったからだ。

  
 

バリバリバリバリバリ(ヘリコプターの羽音
(ヘリの声)動いてはいけません。動いてはいけません。

  
右耳のあたりで、ヘリコプターが騒いでいる。本気でハエだと思った。

ももくーーーん。

ヘリコブターから彼女の声がする。

ももくーーーん

目を細めてよく見ると、ヘリの窓の向こうにゆきちゃんがいる。

ももくーーーーん。

ゆきちゃん。

はっ、わかったみたいです!ももくん、私だってわかったみたい!

おはよう。

おはよー!   

ゆきちゃん、ちっちゃいね。

うふふ、ももくんがおっきいんだよ!

え?

  
 

ドシーーーーーン
(ヘリの声)動いてはいけません、動いてはいけません。

  
どうやら右肩にあたって高層ビルが倒れたらしい。

ももくん、じっとして! うごいちゃだめ!

な、なんじゃこりゃーーー!         

落ち着いて、落ち着いて、ももくん。いまゆきが説明するね!

ちょ、ちょっとまって、

ううん、またない、説明するから、まずは聞いて!

いったいこれは、なんじゃこりゃーええ ????

浮気!

えっ

ばれてるからね。浮気。

えっ 

となりのクラスのはるか。

し、知って・・・

知ってる。

ご、ごめん。

大丈夫です、落ち着きました。撃たないで。みなさん、撃たないでください。

ごめん、俺。

大丈夫。たいしたことない。落ち着いた?話聞ける?

はい、聞けます。

じゃあ説明するね。
ももくん、昨日から体が急に大きくなって、今は富士山くらいになってるの。

ふじさん?

山ね。

山?

そう山。ゆっくり大きくなったから、街のみなさんは全員避難できた。
問題は街の破壊をどれくらい防げるか。

街の破壊?夢じゃないの。

ももくん。

なんだよ、俺泣きそうだよ、どうなるんだよ。俺。

好きよ。大好き。

え、

ゆきはそばにいる。最後まで、ゆきは見届ける。

最後まで。

だって飲み会でプロポーズしてくれたでしょ。

それは、

酔った勢いでも、プロポーズを受けたからには、ゆきは逃げない。

ゆきちゃん・・・俺。おれ!

ばかなももくん。

おれ。

好きよ、大好き。大好きよ。

ゆきちゃん。ゆきちゃん。だきしめたいよ。だきしめたいよ。

  
 

バリバリバリバリバリバリ・・・・
(ヘリの声)動かないでください、動かないでください。

  
  
  
終わり