1125話(2017年10月21日 ON AIR)
「ビタースウィート・スキャンダル」

作・

福谷圭祐

出演・

森澤匡晴

ゲスト出演・

西分綾香(壱劇屋)

狭いんですけど、この路地裏。

しばらくの辛抱だ。

本当に、間違いないんですか。

間違いない。あそこが、今をときめく人気アイドル「ワンチャンス」のモモカちゃんと、
二歳の娘を持つ人気パパタレント矢島さんの密会場所だ。
ばっちり、カメラに収めてやる。白のクラウンに要注意だ。

それにしても、あの矢島さんが不倫だなんて。

裏の顔はわからんもんさ。

あーあ。なんだか嫌になっちゃうなあ。

おい、仕事なんだ、しっかりしろ。

男の人って、みんな不倫してるんですか。

俺以外はな。

あらカッコイイ。惚れちゃいそう。

やめとけ。うちのは鬼嫁なんだ。

それにしても、素敵な商売だと思いませんか。
他人の情事を出歯亀して、あーだこーだと喚きたててチャリンチャリンって。

嫌なら辞めちまえ。

あたし、決定的な証拠が無ければ、記事にはしませんからね。

証拠が無けりゃ作るんだよ。白のクラウン、白のクラウン…。

いいんですか、ねつ造されても。

ねつ造される? するの間違いだろ。

つけられてますよ、あたしたち。

……誰に。

さあ。他社かもしれませんけど、もしかして探偵かな。

探偵? なんだ、探偵って。

疑われてるんじゃないですか。私生活を。鬼嫁とやらに。

……ちょっと待て。お前は俺の仕事仲間だ。

あたしもそのつもりですけど。

ここにいるのは、張り込みだ。疑われるようなことは何もしていない。

まあでも、暗い路地裏に男女二人ですからね。結構な密着度ですし。

……まずいかな。

あっ、白のクラウンから矢島さんが。

なに!

ちょっと、大きな声。こっち見られたじゃないですか、ほら、カメラ隠して。
あー、もうしょうがない。んしょ。こっち向いて。

  
 

女、男にキス。

  

あっ、ちょっ、ええっ!?

ここは路地裏のカップルを装わないと。

バカ野郎、今そんなことしたら…。お前、俺を殺す気か!
ちくしょう、伝えてこい。私たちは何でもありませんって。

矢島さんに?

矢島さんなワケあるか! その、探偵にだよ!

あっ、あれ、「ワンチャンス」のモモカちゃんだ。

お前、ちょっと、あんまり引っ付くな!

しょうがないでしょう、狭いんだから。

くそ、こうなったら。

あ、ちょっと、そんなあからさまにカメラ構えたら。

お二人さーん! どーもー! 週刊誌でーす! 私たち週刊誌でーす!
絶賛仕事中でーす! イエーイ! 週刊誌でぇーす!

  
 

カメラの連射シャッター音。
車のドアが閉まり、走り去る。

  

あーあ。逃げちゃった。

はぁ、ちくしょう。今回はしょうがねえ。

仕事より、奥さんのこと選ぶんですね。

当たり前だろ。

あらカッコイイ。惚れちゃいそう。

勝手にしろ。

  
 

シャッター音

  
二人

あ?

  
  
END