113話(1998年5月29日 ON AIR)

「3つの願い事」

作・ウォーリー木下
登場人物
ミホ(単調な毎日に不満をつのらせるOL)
ジーニー(古いランプからでてきた謎の魔神
SE:ミホのワンルームマンションのドアが開く音
SE:ミホがベッドの上にドカッと倒れる音
ミホ
ふー、疲れた
SE:電話のベル
ミホ
はいもしもし。―あっサトシ。うん今帰ってきたところ。
(面倒臭そうに)うん、うん、あのさー、今友達きてるからまた後で掛け直して、ごめんね
SE:電話を切る音
ミホ
(モノローグ)私の名前はミホ、趣味は買い物。最近はアンティークものにはまっている。早速今日もいきつけの骨董品屋で1万円もするランプを買ってきた。こすったらハクション大魔王でもでてきそうないわゆるアラビアンランプだ
SE:ランプをこする音
SE:小さな爆発音
ジーニー
(咳き込みながら出てくる)ごほっ、ごほっ、ごほっ、けむたー
ミホ
でてきた…
ジーニー
お呼びですか、ご主人様。(まだ咳き込んでる)ごほっ、ごほっ、さあ、3つの願い事をかなえてあげましょう
ミホ
だ、だ、だ、誰よあんた!!
ジーニー
私は魔神ジーニー。1つ目の願いはかなえました。さあ残るは二つです。
ミホ
ちょっと待ちなさいよ!
ジーニー
さあご主人様、残る二つの願いをかなえましょう。何なりと
ミホ
ちょっと待って
ジーニー
それでよろしいですね
ミホ
そうじゃなくて、ど、ど、どこからきたのよ!
ジーニー
2つ目の願いですね。答えましょう。私は―
ミホ
ちょっと、ちょっと、これは願いじゃなくて、質問なのよ、質問
ジーニー
質問も3つまで答えることができます。1つ目の質問ですね。
答えましょう。私はこのランプからでてきました
ミホ
どうして?
ジーニー
ご主人様がこすったからです。さあ、質問は残り1つです
ミホ
あなたは本当に願い事をかなえてくれるの?
ジーニー
はい。質問は以上で終わりです。さあ願い事にいきましょう
ミホ
でも信じられない。そんな急に出てきて、私酔っ払ってるの?
ジーニー
質問には答えられません
ミホ
分かった!夢見てるのね、私。ちょっとほっぺたつねってみて
ジーニー
はい(ミホのほっぺたをつねる)
ミホ
痛!
ジーニー
さあ、願い事はあと一つです。
ミホ
しまった。くだらないことに使ってしまった
ジーニー
最後の一つくらいは慎重にお願いしますよ。世界一の大金持ちになることも、すてきな王子様と恋に落ちることだってできます。宇宙を旅することも、究極の美貌を手に入れることも、永遠の命だって叶います。さあ、最後の願いを、ご主人様
ミホ
少し考えさせて
ジーニー
そりゃあそうでしょうね
ミホ
えーと…
ジーニー
お仕事は何をしてらっしゃるんですか?
ミホ
ただのOLよ
ジーニー
彼氏はいるんですか
ミホ
うるさいわねー、考えてるんだから
ジーニー
これは彼氏の写真ですか?
ミホ
ちょっと勝手にー
ジーニー
なかなか男前じゃないですか
ミホ
でも、もう多分別れる。遠距離なのよ。ボランティアでアフリカ行ってるの。もう2年も会ってない。電話だけ。それも向こうからかかってくるだけ。疲れちゃった
ジーニー
これは熱帯魚ですか?
ミホ
人の話聞いてんの?
ジーニー
一匹死んじゃってますよ
ミホ
本当に!?
ジーニー
駄目ですよ、流行ってるからって飼い方もろくに知らないでこういうの買ったら
ミホ
うるさいわねー
ジーニー
で、決まりました?
ミホ
あっ、分かった!
ジーニー
あらかじめ言っておきますが、願い事を増やしてってのは駄目ですよ
ミホ
そう…
ジーニー
さあ、どうします?
ミホ
あのさ、先の話なんだけど、遠距離に耐えられないのは私のわがままなのかな?
ジーニー
私は恋愛相談にのりに来たわけじゃないので
ミホ
私ってわがままなのかな。あなたに願い事を言えって言われて、私自分の都合のいいことばっかり思いつくの。例えば彼に帰ってきて欲しいとか、会社でもっと認められたいとか、もっと変化のある毎日が送りたいとか…。なんだかそれってただのわがままのような気がしてきて…
ジーニー
願い事とはそういうものです。ただ、折角私がこうして出てきたわけですから、もうちょっと難しい願いがいいかなー。だって今言った願いなんて私がいなくても、あなたが頑張ればすぐ叶いますよ
ミホ
(笑顔で)…そうよね。それじゃあ、最後の願い、決めた
ジーニー
何ですか?
ミホ
この死んじゃった熱帯魚生き返らせて
ジーニー
それはすばらしい
ミホ
私次はちゃんと育てる
ジーニー
ハイ!
SE:魚が跳びはねる音
とてもやさしいBGMが流れる
ジーニー
それじゃあ、戻りますね
ミホ
ねえ、あなたはかなえて欲しい願い事ないの?
ジーニー
質問は3つまでです
ミホ
ケチ
ジーニー
お元気で
SE:小さな爆発
ミホ
消えちゃった
SE:電話のベル
ミホ
はいもしもし。あっサトシ?友達?(気まずそうに)あっ、うん、もう帰った。それよりさ、今度そっち遊びに行っていい?そうアフリカ。うん、うんー
ミホの幸せそうな声、BGMにかき消される