1138話(2018年1月20日 ON AIR)

「僕の一輪のばら」

作・嘉納みなこ
出演・大熊隆太郎
ゲスト出演・一瀬尚代(baghdad café)
京橋にある、バー。れいじとあきこが丸いテーブルを前に見つめ合っている。
れいじ
僕たち、始まってしまったね・・・。
あきこ
・・・・。始まった・・・?
れいじ
今宵、始まってしまったね・・・。
あきこ
えーっと。
れいじ
乾杯。
あきこ
あ、はい。
れいじ
マスター、こちらのお嬢さんに、何か甘いリキュールを。
あきこ
えっ。私甘いお酒好きじゃない・・・。
マスター
かしこまりました。
れいじ
これからは僕にいろいろ任せるといい。
なんてったって君は僕の、か、か、彼女になったんだからね。
あきこ
はあ。
れいじ
何度乾杯しても、足りないくらいだね。乾杯。
僕の好きな食べ物はね、ハヤシライスなんだ。乾杯。
僕の祖父はね、島根出身なんだ。乾杯。ああ、乾杯しすぎだね。
乾杯。・・・ああ、ああ!!
あきこ
ちょっと、お手洗いに。
れいじ
ついていこうか。
あきこ
いえ、ここにいて!!
れいじ
オーライ。
あきこ、去る。トイレで電話している。
あきこ
どうしたらいいと思う?
最初はいいかと思ったんだけど、でもなんか、付き合うってなったら、
ちょっと違う気が・・・!いや、付き合うって言っちゃった私も悪いんだけど・・・。
そうだよね、別れるなら早い方がいいよね。できるかな。
いや、がんばってみる。ありがと。
あきこ、帰ってくる。
あきこ
トイレ、結構混んでて・・・。あれ、寝てる?
れいじ
ひっかかった。
あきこ
えっ。
れいじ
狸寝入り。これからもちょくちょくするかもね?
あきこ
あああ・・・。このナッツ、食べてもいいですか!!
あきこ、勢いよくナッツを食べる。
れいじ
ついに、僕を支配したね・・・。
あきこ
(食べながら)支配!?
れいじ
はは、ナッツが飛んできたよ。僕はね、あきこさん。・・・あきこ。
いやあ、呼び捨てはやっぱりまだ無理だなあ。あきちゃん。
あきこ
あああ。
れいじ
彼女にはすべてをささげようと思ってこの20年間、生きてきたんだ。
あきこ
別れてください!!
れいじ
えっ?
あきこ
申し訳ない、申し訳ない!
れいじ
・・・今日のところはお別れ?あ、もう帰らなきゃいけないってことだね。
あきこ
違う違う。
れいじ
えっ、じゃあどういう・・・。
あきこ
自分が悪かったと思ってるんです!でも、やっぱりその、別れてください!
れいじ
それって・・・。
あきこ
破局!破局!!
れいじ
ウソだあ!
あきこ
ほんとなの!
れいじ
いやだあ。
あきこ
ごめんなさい。ほんとにごめんなさい!!
れいじ
せっかく彼女ができたんだあ!
あきこ
だからごめんって!!
れいじ
何が悪い?何が悪いのか言ってくれ!!
あきこ
悪いとかじゃないの。
れいじ
じゃあいいじゃん!
あきこ
でも、なんか、なんか違うの!!
れいじ
いやだ、いやだあああ。
あきこ
ちょっと!床に寝ないでよ!!こんなところで!
れいじ
あきこおお。
あきこ
(周りに)すいません、何でもないんです!ちょっと背中がかゆいみたいで。
れいじ
かゆくない!
あきこ
わかってるわよ!
れいじ
ひどいよ!!部屋もとったのに!(鍵を出す)
あきこ
何それ。
れいじ
ホテルのカギじゃないか。
あきこ
ホテル?!
れいじ
奮発したよ。
あきこ
バ、バカじゃないの?
れいじ
さあ行こう!!
あきこ
行かないわよ!
れいじ
お願いします!
あきこ
ちょっと!土下座やめて!
れいじ
夢だったんです!!彼女という存在とホテルに行くのが!!
あきこ
みんな見てる!!
れいじ
行ってくれるまでやめない!お願いします!!
あきこ
もー!!
・・・彼に押し切られ、結局、ホテルにいってしまいました。
その後も何度も別れようとしたのですが、そのたびに土下座で押し切られ、
ついには彼と結婚までしてしまいました。恐ろしいようですが、ほんとの話です。
土下座されたら、かなわないや・・・。
おしまい。