1153話(2018年5月5日 ON AIR)
「オバケのきみ」

作・

たみお

出演・

大熊隆太郎
東千紗都

ほら。現れた。いつもの椅子に座ってる。オバケのきみである。

オバケ

おはようございます。でて、きちゃいました。

照れ笑いするオバケのきみ。彼が現れてから、もうじき一ヶ月たつ。

オバケ

今日もお仕事ですか。

うん。

オバケ

日曜日ですよ。

カフェの仕事は土日がメインなの。

オバケ

はァ。ぼくったら呑気な身分だなあ。

だって、オバケじゃない。

オバケ

そう、オバケなんです。

オバケのきみには、化けて出てくること以外にも、もう一つ、できることがある。

オバケ

あ、後ろ。髪の毛跳ねてる。

えっ。もー。すぐに跳ねる。

オバケ

僕の出番ですね。

オバケのきみのできること。それは、跳ねた髪の毛を直すこと。

オバケ

はい、じっとして。

はい。

オバケ

ヴうううううう。

きた。両手をかざしてゴーストパワー!

オバケ

ぬぉぉぉぉぉぉ(頑張っている)

始まった! 顔が青くなって、白目になって、ほほがこけて、まるで悪霊!

オバケ

こっちをみちゃだめだぁぅおおおー!!(結構頑張っている)

はいっ! と、言いながら、こっそり鏡越しに見る。

オバケ

うぬおおおおおおおおぅぅぅ!

うひゃー、私の後ろに悪霊がいる! 悪霊が頑張って、私の跳ねた髪の毛直してくれてる!
とっても親切!

オバケ

ふひゃおおおぅ。ふぅー。

あ、終わったみたい。

オバケ

触ってみてください。

直ってる! ありがとう!

オバケ

よかった。

私、彼に恋してる。

オバケ

え?

あ! 体が薄くなってる!

オバケ

ああ。今日の跳ねは手強かったから。

生命力を使いすぎたのね!

オバケ

前にも言いましたが、僕に生命力はありません。僕はもう、

んーーー! 死んじマエ!

オバケ

えっ

恨みマス。

オバケ

ええっ

ちょっと待って。今恨み節を言うから。出会った時みたいに、すんごい恨み節言うから!
大凶!厄年!大殺界! 因果応報! 残酷非道! どう?、蘇る? この怨念パワー!

オバケ

え?あ、はい。まあまあ、蘇ったかな!

よかった! 検索したから、恨み節! あ、もう時間。行かなくちゃ!

オバケ

はい、行ってらっしゃい。

ね。明日も化けて出てくれる?

オバケ

もちろん。あなたが世界を恨んでくれるなら。

うらむ!!

オバケ

じゃあ明日も会えますね。

うん。明日も!! 行ってきます!

オバケ

気をつけて!

  
 

バタン。

  

ほんとは、とても恨めない。だってやっと、やっと新しい恋が出来たんだもの!

  
オバケ

ほんとだ。僕、消えかかってる。そろそろ、成仏できちゃうんだ。

  
  
終わり。