1157話(2018年6月2日 ON AIR)

「時をかけるラジオ」

作・たみお
出演・大熊隆太郎
のたにかな子
ジングル。
山の下スタジオからお送りする
男女
「あなたとあなたにこんにちは」
ぼく、田丸ジョンと、
なぎさミーがお届けする、ハッピーなテンミニッツ。
お楽しみ頂いていますか? 
ラジオSE 「イェーイ」
では今夜最後の、
ハ・ガ・キ・です。
ラジオSE「ありがとー」
中学3年生、ペンネーム、ナイトドリーマーさんからのお便り。
「ミーさん、ジョンさん。こんばんは。」
男女
こんばんはー。
「僕は、今、進路に迷っています。」
きたわね、田丸ジョン。
ああ、なぎさミー。進路相談だ。
いつかリスナーが大人になって、私たちのことを思い出してくれるのよ。
そう、あの時の、あのラジオに救われましたってね。
ええ。
続きを読むよ。なぎさミー。
ええお願い。
「親は公務員を勧めますが、僕はお二人のようなパーソナリティになりたいのです」
まあ。光栄だわ。
「けれど、おしゃべりが苦手です。」
致命的じゃない?
「僕の声が、電波にのり、空をかけ、宇宙ステーションから跳ね返り、また地球にかえっていく。考えただけでも緊張します。」
宇宙ステーション?
知らないのかい、なぎさミー。彼が言うように、僕らの声は、一度地球を巡る宇宙ステーションに集約されて、地上のあらゆるステーションに届けられるんだ。
そうだった。なんだか急に緊張してきたわ。
「ジョンさん、ミーさん。進路希望の紙に、ラジオパーソナリティと書く勇気を、僕にください。」
実はね、私、進路希望に嘘を書いたの。
なぎさミー。
後悔してるわ。相談する勇気すらなかったのよ。
「僕は、今日、とっても泣きたかったのですが、」
今日? いったいドリーマーくんの身に なにがッ?
落ち着くんだ、なぎさミー。郵便はだいたい二日後に届く。
なんだか人ごとに思えなくって!
「このハガキをお二人が読んでくれる頃、僕は笑っていれるようにしたいと思います。」
・・・以上だ。
逆に心配になる一行で終わってる!!!!
落ち着くんだ、なぎさミー!
ドリーマーくーーーん。聞こえてるー??読んだわよー!!
ちゃんと君のハガキ、読んだからーーー!!
なぎさミー!
ちゃんと笑ってる? ちゃんと書いたの? 君の夢!!
きっと、きっと、なれるから!!
ラジオパーソナリティに!!・・・に、に、に・・・・。
声が宇宙に行って、星たちの間を走り抜けていく。
時間が過ぎていく。ジングル。
おじいさん
えー、山の下スタジオからお送りしているぅ、
ドリーマーくん
せーの。
おじいさんとドリーマーくん
「あなたとあなたにこんにちは!」
おじいさん
田丸ジョンと
若い男
僕、ナイトドリーマーがお送りしています! なぎさミーさん。
今夜も聞こえてますか。
聞こえてますか。
おじいさん
ああ、きっと聞いてるよ。星の間で、なぎさミーは。
おわり。