1166話(2018年8月4日 ON AIR)

「眠る女」

作・藤井颯太郎(幻灯劇場)
出演・坂本隆太朗
東千紗都
ゲスト出演・原 竹志 (兵庫県立ピッコロ劇団)
女の悲鳴。殺人事件が起きた。パトカーがやってくる。
事件現場の寝室に刑事と家政婦と料理長の後藤。
刑事
後藤さん。現場はまだ何もいじっていませんね
後藤
はい
刑事
第一発見者は家政婦の、あなたですね?
…(寝息)
刑事
あの、
(スグ起きる)すみません。少し寝不足でして
刑事
あなたがこの部屋へやってきた時既に被害者は殺されていた
(死体に気づく)奥様!…死んでるっ!刑事さん!死んでますよコレ!
刑事
ええ、落ち着いて。あなたが第一発見者です
え。やったぁ。…夢かと思ってたのになぁー
刑事
凶器は包丁のような物。犯行時刻は一時間程前。その時、お二人はどちらに?
後藤
私は厨房に。包丁を取りに行っていました
刑事
なるほど。あなたは、おい家政婦!
(スグ起きる)すみません寝不足で…奥さま!死んでる!刑事さん警察を呼んでください!
刑事
刑事は警察ですよ。あなたは何をしていたんですか?
寝ていました
刑事
今寝てたのは知ってます一時間前は何をしていたんですか
寝ていました
後藤
彼女はここで寝ていました
刑事
この部屋で?隣のベッドでは殺人が起きているのに?
うわぁ、このシミ落ちるかなぁ
後藤
彼女全然気づかなかったみたいです。刺した途端、奥様かなり暴れて、血が彼女にもかかったんですがね、彼女は起きませんでしたよ。あ、血は目覚める前に丁寧に落としたんですが、その時もぐっすりでした。よっぽど眠かったんですねぇははは
え!ありがとうございます!
刑事
そして、あなたは目が覚め、すぐに奥さんが死体になってベッドの上、で寝るな!
(スグ起きる)…奥様!死んでるっ!後藤さん!
後藤
彼女の悲鳴が聞こえた時、私は殺害に使った包丁を拭いていました
刑事
なるほど
犯人は誰なんでしょうか
刑事
わかりました
後藤
ほんとうですか
刑事
犯人はこの中にいます
後藤
そんな!
刑事
その人は、(女寝ている)…その人、一度しか言いません、犯人は、犯人、起きろ家政婦!
(寝言)うん
刑事
もう寝かしときましょう。彼女は関係ありませんから。何故なら犯人は、
(寝言)後藤さん
刑事
そう、料理長の後藤さん、てお前が言うな!
(寝言)奥様を殺害した後藤さんは、あたしに飛んだ血をふき取り、包丁の血を拭いた後……猫、シャワーを浴びて、血を落として……飛んだ
刑事
(寝言と同時に)奥さんを殺害した後藤さんは、家政婦にうん。(とかなんとか適当に相槌を打つ)
後藤
その通りです
刑事
あ、じゃあ、逮捕します
後藤
彼女はそのまま寝かしてやってください。寝不足なんですよ
手錠がかけられ、彼は連れて行かれる。
扉が閉まり、夜を告げる時計の鐘。
(目が覚める)はっ!奥様が、あれ
刑事
死体は引き取ったよ
事件は解決したんですか
刑事
俺も次の現場にいかなきゃな
え、でも深夜の三時ですよ。ちょっとは眠らなきゃ身体壊しますよ
刑事
…俺は眠らない男なんだ
後藤N
かくして、『眠る女』と『眠らない男』は出会った。つづく
終わり。