1172話(2018年9月15日 ON AIR)

「やりなおす男」

作・福谷圭祐
出演・のたにかな子
ゲスト出演・F.ジャパン(劇団衛星)
イエーイ! ヒデオくん、お誕生日おめでとー!
ありがとう。
ねえねえ、なにが欲しい? なにが欲しい? なんでもしてあげるよ?
なんでも?
あ、エッチなのは駄目だからね?
じゃあ、まゆみちゃん、お願いがあるんだけど。
うん。
「二人だけの秘密だからね」って、言ってくれないかな。
なにそれ?
少し照れた、恥ずかしそうな声で、「二人だけの秘密だからね」って、言ってくれないかな。
あたしが言うの?
うん。いいかな?
「二人だけの、秘密だからね」
oh……。
なに。こんなのでいいの?
うん。ありがとう。
別に、こんなのでいいなら、いくらでも言ってあげるけど。
本当? なら、「あーあ、文化祭、終わっちゃうね」って、言ってくれないかな。
文化祭?
放課後、片づけをしながら、僕だけに聞こえる声で。
「あーあ、文化祭、終わっちゃうね」
oh……。
これでいいの?
じゃあ、次は、「バッカみたい、鼻の下伸ばしちゃって」って、言ってくれないかな。
少し嫉妬して、頬を膨らました様子で。
「バッカみたい、鼻の下伸ばしちゃって」
oh……。
ヒデオくん、何かをやり直そうとしてない?
え?
そりゃ、ヒデオくんがモテてこなかったのは知ってるけどさ。
ごめん、注文が多すぎたかな。
いや別に、言うくらいなら、いくらでも言ってあげるけど。
じゃあ次は、「先輩のギター、もっと聞きたいです」って。
ヒデオくん、ギターなんて弾けないのに?
いいから。
「先輩のギター、もっと聞きたいです」
「ふーん、ヒデくん、まだ彼女できたことないんだー」って。
ええ?
今度は女の先輩。金髪の。ちょっと大人な。
「ふーん、ヒデくん、まだ彼女できたことないんだー」
俺今、サッカーにしか興味ないんで。
なに?
いや。
ヒデオくん、パソコン部でしょ?
「くそ、クイズに間違えたから天井が落ちてきた!」
なに?
「俺が天井を支える! お前は、俺を置いて、先に行け!」
え、どうしたらいい?
いや、今のは僕が言いたくて。
あ、そう。
「ねえ、今日ウチ、親いないんだ」って。
ヒデオくん。
「二人とも遅くなるんだって、だから」って。
ヒデオくん。
それで僕の服の裾をギュッと握って。
ヒデオくん、それはもうエッチだよ。
だめ?
だーめ。
誕生日なのに。
あーあー、もう。そんなんだからいつまでも、恥ずかしくて紹介できないのよ。
はやくしっかりしなさい。こんなことしてるなんて、二人だけの秘密だからね。
あ、うん。
過去に聞けなかった妄想の台詞で鼻の下伸ばしちゃって。バッカみたい。
おお。
今ここにいるあたしから、聞きたい言葉はないの?
……好きって言って。
だめ。先に言いなさい。
ああ…、好き。
END