1194話(2019年2月16日 ON AIR)

「虹色のクラクション」

作・福谷圭祐
出演・大熊隆太郎
のたにかな子
ここは女の車の中。
もうええって、お前。泣くなや、もう。
ごめん。
いや、謝らんでええけど。泣くなって。
だって。
どうせまたすぐ好きな人できたとか言い出すんやから。このくだり何回やんねん。
もう恋なんてせえへんもん。
五万回聞いた、耳腐るわ。ばり恋するやんお前。
あたし、なにがアカンのかなぁ。
お前な、勇猛果敢すぎんねん。もうちょっとお前、同じ属性で恋せえや。
そんなん、好きになってまうねんもん。
わかるけどさ。だから俺はちゃんと、俺みたいなやつらのコミュニティで恋するようにしてるもん。
普通の女の子のことなんか好きになっても、あとで辛いだけやし。
好きになったら止められへんもん。
だから好きにならんように、距離とっとくんやん。
なんであいつらってあんな思わせぶりなん?
それはわかるけど。
思わせぶりすぎひん? めっちゃ優しいし。
あれちゃう? ペット可愛がるみたいなもんちゃうん?
あたしペットでええのに。
お前の性癖は知らんけど。
あたしのなにがアカンと思う?
だってお前は、ややこしいやんか。ヒゲ生えてる日あるし。そういうのが好きな人自体が、
そもそも少なくはあるわけやから。
なんで?
そこはしゃあないやろ。競技人口少ないマイナースポーツみたいなもんやん。
野球のスタジアムの中で、クリケット好きを探すんは大変やろ?
でもクリケットって、インドではメジャーやで。
せやから、インドで探したほうがええっていう話。
夜はインドで恋せよ乙女?
意味わからん黙れ。例えば、ほら、ヨッちゃんとこのバーとか。
ちゃうやん。だからあたしは、ヨッちゃんとこのバーとかにけえへん、
爽やかなビジネスメガネが好きなんやんか。
ほなもうちょいメイク頑張れや。
やってるやんか!
完成度低いねん! お前んち鏡ないんか。
そんなん、だってあたし、別にほんまの女になりたいわけちゃうもん。
ほんまお前らってそういう逃げ方するよな。
逃げとかちゃうもん。
二人
あたしはあたし、
とか。
むぅ。
俺は男になりたい。ちゃんと。ぜんぶ。
男に見えるで。
でも好きにならんやろ?
だって、あんたは、アレがないやんか。
お前のんよこせや。使い道ないやんけ。
アカンよ。使うよ。あたしはコレがついたままがいいの。
あー。アレが欲しいなー! もー!(あるいは「アレが欲しいなー!」)
あたしもー。
お前の欲しいと俺の欲しいは、ぜんっぜん意味ちゃうからな。
超ごぶさたー。
くっそ、その役に立たんモン寄こせ!
あん、ちょっとやん、ひっぱらんとってよぉ!
おら! あははは!
ちょっと、やだ、アカン、ほんまにキュンとしてまうて。(地声)
いや、怖。やめろやお前。ヒゲ生えてきてるやんけ。抜いたるわ。
やーん!
おら!
いったーい! やーん! (クラクションが短くなる)あん、ごめん、当たった。
二人、笑う。
END