156話(1999年3月26日 ON AIR)

「春を待って」

作・松田 正隆
―夜のファーストフード店。BGM。人々の喧騒。
…灰皿。
…。
灰皿。
え?
…。…灰皿。ないかな。
ああ。ちょっと待って。
…。
はい。
…(タバコを吸う。)―携帯が鳴る。
はい。…ああ。何や。…え?今?…マクド。
え?…何で…ちがうわ。…何でやねん。おらへんて。
…一人やて…。うん…うん…え?…うん、行くし。
…ちょっ待っとけ。…何で。…ちょっ待っとけて…
うん…。うん…はい…ほな…。(と切る)
…誰?
知らん。
…。
ああ、目ェかいかいワ。
目薬あげよか。
いらん
…誰なん、今の。
お前それ、食べへんの。
うん
…(と、食べる)
タバコ、あたしももらってええ?
おう。…お前、小銭もらうなや。
え?
おつりや、おつり。…一円や、二円、いちいちもらうな、ウットシイ。
…うん。ゴメン。
ああ、ホンマ目ェかいワ。
―間。
…どないすんの。
え?
帰らへんの。
…。
終電まにあわへんで。
…うん。…ええねん。
ええことないやろ。
…。まだ、桜、咲かへんのかな。
…。
桜って、いつ頃咲いてたっけ…。
知らん。
どっか行くのん?
うん。
そう。ほな、もう行かないかんの。
うん。
…ふーん。
…。
…はい…これ。
何や、これ。
プレゼント。
…何で。
誕生日やし。
誰の。
コウスケの。
オレ、今日やないで。
知ってるよ。…ちょっと、おそくなったけど。
…。
何あげたらええか、まよったんよ。
ふーん。
…。
…。
…小川君、うかったんやて。阪大。
ふーん。
フミも。あかん言うてたのに…。フミ、あてにならへんしな。
…。
あけへんの。…
え?
それ。
(と、つつみを開ける)
コウスケ、ゲンチャリ買う言うてたから。
キーホルダー。
…ありがとう。
…。いえいえ…。
…。
…何かしゃべってよ。
何を。
何か。
…。
…ほな帰るワ。
うん。終電、大丈夫。
うん…。それじゃ…。
…それじゃ。
…ああ。
何。
写真、できたし。送るワ。
うん。
バイバイ。
うん。
―間。…ケイタイが鳴る。
はい。…うん…うん…いや、ええよ。…うん、…。
今から行くし。…うんうん。
―人々の声…。BGM。