197話(2000年1月7日 ON AIR)

「太陽がいっぱい」

作・深津 篤史
風の音がきこえる
年賀状、きてるわよ。
ああ、うん。
2つ目が上がったところ?
そうだな
おモチ2つ?3つ?
今日はミソだっけ
ええ
じゃあ3つ
明日はお澄ましですからね
カマボコ届いたっけ
はい
じゃ明日も3つ
良かったわね、まにあって
しかし、あいつも船の中で正月じゃな
元旦ぐらいこっちでゆっくりしてけば良かったのに
ま、そうもいかんだろ。他による所もあるだろうし
新聞きてるけど読む?
ちゃんとしたやつ?
ええ、広告のたくさん入った
科学の進歩はすごいね、しかし
電子メールばっかりじゃさびしいもの
最初は手間がかかるだけだと思ってたんだがな
あっちじゃレトロブームだそうですよ、90年代の
ありがたいね、なつかしい話だよ
あ、そうだ
何だ
まだ言ってなかったわよね、新年のごあいさつ
ああ、うん
あけましておめでとうございます
いや、うん、あけましておめでとう
なんだかね
夜がないというのも、区切りがつかんでいかんな
もうなれました
まあ、いかし、晴れて良かった
ええ
正月はやはり晴れんとな
日本晴れですか
俺の実家が鳥取にあってな
またその話ですか
砂丘の向こうに海がある。赤くそめて初日の出があがる。そりゃあきれいでな
はい
帰りたいなあ
あと一年のしんぼうですよ
まあ、戻ったところで何もかも変わってるんだろうが
ええ
海がないのが惜しい所だ
ほんと見渡す限り
青い砂というのもな
見ようによっちゃあ海にみえますよ
去年の正月もこんな話したな
ええ
ケンジも一緒だった
今頃は船の中ですよ
今年は嫁さんでも連れてくるかと思ったら
あら
何だ
結局、うち明けずじまいなのね、あの子ったら
何だ何だ
向こうにいい人できたそうよ
そうか
こういう仕事してるから、いつダメになるかわからないし
父さんには
(笑って)情けない奴だな
来年のお正月に期待しましょ
ああ、うん
そろそろおせちにします?
いや、もう少し
ええ
ほら
3つ目
うん
私子供の頃、おねぼうさんでね
今年こそ、今年こそ初日の出見るんだって思ってて
いつも見逃しちゃうの
(少し笑って)ああ
ここだとその心配がなくていいわね
初日の出も、3度登って3倍めでたい
ええ
ま、要は気の持ちようだ
去年もそう言ってたわよ
ああ
そろそろ食べましょ、四つ目があがるまでまってたら
おモチとけちゃうわよ