233話(2000年9月15日 ON AIR)
「秋桜」

作・

深津 篤史

あいかわらず暑いね

ああ

熱帯夜

クーラーつければいいじゃん

秋だよ

うん

九月

うん

もうじき10月

ああ、そだな

風吹かないかなあ

  
 

女、カラカラと何かをゆらした

  
いい加減しまえよ、それ

だって風流じゃない

もうじき10月なんだろ

夏の思い出

ふつうするか、そういう事

何よ

何だろ自由研究小学校の宿題

小学生レベルで悪かったわね

ふつうやらんよ、そういう事

可愛いい女?

海、行ってないじゃん

雨ふんだもん

日頃の行いが悪いから

どっちが

こっち?

夏、彼氏が海に行きました。
おみやげに貝のつくだにをくれました。
二人でたべました。貝のつくだにはとてもおいしかったです。

絵日記?

海のにおいがしました。彼氏も海のにおいがしました。彼氏の耳は小さくて貝ガラのようです。
なめてみるとやっぱり海の味がしました。

汗だって

当たり前じゃん

うん

貝ガラはきれいに洗って、風りんをつくりました。
けど重いのでちょっとやそっとの風ではなりません。
女、再びカラカラとゆらす

こわい、こういうの?

いや

おんねん、みたい

(少し笑って)海か

すっごい楽しみにしてたんだから

ああ、うん

私の耳は貝のカラだっけ?

何か詩でそういうのなかった?

いや、わかんないけど

私の耳は

なめてみる?

  
 

男、女に顔を近づけた
女笑い出す

  
息がくすぐったい

だって

あ、ちょっと<

  
 

女、やっぱり笑ってしまう

  
ごめん、スイッチ入ったかも

かいでみたんだって

海のにおい?

いや、わかんない

耳、くっつけて

私の耳とこうやって

耳と耳

うん

  
 

やや間
女、やはりくすぐったいのか少し笑っている

  

がまんして

そっちだろ

うん

  
 

やや間

  
海の音

そうか

海の中にいるみたいでしょ

ああ、うん

目つぶって

うん

今日ね

うん

おむかいの空き地でコスモスがさいてたよ

ああ

夏もおわりだね

海、行こうか

  
 

風が貝ガラの風りんをゆらした

  

秋の海、もう泳げないけど