293話(2001年11月9日 ON AIR)
「祭りのあと」

作・

深津 篤史
ゲスト出演:原 尚子(立身出世劇場

ビール飲むかぁ。

おお。

何たそがれてんねん。

自分、えらい出来あがっとるな。

そんな事ない。

目ぇ、すわっとるで。

色っぽいか。

それなりにな。

ビール飲むかぁ、なぁ。

おお。

  
 

缶ビールを開ける音

  
かんぱい。

お疲れさん。

お疲れさまでした。

境内の方、片付け始めとるんか。

うん、あらかたな。終わったわ。

早いな。

あっという間や。

せやな。

何たそがれてんねん。

何やろな、祭りの後いうんは、そういう気分にならんか。

ちょっとな。

ここ10時までやったっけ。

関係ない。うちカギ持ってるし。

ま、ぼちぼちな。

女のこのおる店には行かへんの?

ああ。

世話役の人ら、みんな行ってんねやろ。

うん。

たかちゃんおるし行きづらい?

あほ、ガキがしょうもない心配すな。

ガキ言うな。もう四捨五入したら30や。

もうそんな年か。

ああ!

何や。

小さい町は嫌か。

(少し笑って)何でも筒抜けやからな。

うん。

未練あるとかではないねんで。

何。

何やろな。

わからんわ。

お互い気ぃ使って飲んでもうまないやろ。

ちくちくっとするんか。

え。

胸の辺りがちくちくってするんか。

あほ。

ちくちくやないんか。ずきずきってするんか。ちくちくとずきずきはどっちが痛いんか。

ええとな。

悩むな、あほぉ。

うん。

どの辺が痛いん?

  
 

と女
男の胸に触った

  
こら。

今誰か入って来たら。

え。

誤解されんな。

小さい町やしな。

(少し笑って)汗かいてる。

神輿かついだ後やからな。

かっこ良かったわ。

そうか。

こういうのは小さい町の特権やな。

え。

するもんやなくて見るもんやろ、大きい町やと。

祭りか。

うん。

自分…。

彼氏とな、何べんかお祭り連れて行ってもらった。

京都で。

うん。祇園さんとかな、初詣とかな。えらい人やった。

ああ。

来年は小さい初詣や。

誰かおらんのか。

なあ。

え。

それは遠回しに断わってるんか。

いや。

ほな、なに?

おっさんやで。

答えになってへん。

うん。

たかちゃん。

それはない。

ちくちく治ったか。

ちくちくもずきずきもない。

え。

祭りの後、みたいな。

ふぅん。

いや、何て言うたらええんやろ。

初詣連れてって。

え。

だいぶ先やろ、ゆっくり考えて。

うん。

で、私にりんご飴、買うてな。

  
 

男 少し笑った