第345話 (2002/11/8 ON AIR)
「愛のサラダボール つとむとかよこ、秘境温泉での戦い!」 作/オカモト國ヒコ(エビス堂大交響楽団)

ナレーション 愛のサラダボール。つとむとかよこ。秘境温泉での戦い。
お湯の音 山の中の温泉 二人きり 車でやってきたようだ
かよこ

はあー。

つとむ

ふうー。

かよこ

こんな山の中に温泉がねー。

つとむ

穴場だよ、穴場。

かよこ

確かにね。

つとむ

地元の人しか知らないよ、きっと。ふぃー。

かよこ

くあー。・・素敵ね。木も山も全部雪がつもってて。 ・・星がきれい。

つとむ 君の方がきれいだよ。
かよこ

バカじゃないの。もっ。

とお湯をかける

つとむ あはは。それっ、かよこ。
お湯をかける
かよこ

えいっつとむさん。

つとむ

ははは。

言いつつ お湯のかけあいっこ

つとむ

水着なんて外しちゃえよ。

かよこ

いや、エッチ。

つとむ

いいじゃん、誰も見てないよ。

かよこ

何言ってんのよ。

つとむ

ほら、ほんとに。ね?誰も見てないから。

かよこ

いや、なんか目が怖いぃー。(語尾あげて)。

つとむ

いいから、ほら。

かよこ

もう。

ザパっとお湯をかける さっきより量が多い

つとむ あつ、あつっ。こいつ。俺の本気に火をつけたことを後悔するぜ?
かよこ

何言ってんのよっ、えい!

ザパンザパン あははとか言いながらしばし激しいお湯のかけあい
つとむ

(本気の声色で)ほんとに。な?はずせよ。

かよこ (本気に驚いて)えっ?

そのとき 突然の雷が ガラガラピッシャーン

かよこ や、山の神の怒りだわ!
つとむ

・・吃驚したあー・・・山の天気は変わりやすいからな。

パチパチと火の燃える音
かよこ

ん?あれ。・・・燃えてる。

つとむ わ。あんな近くに落ちたんだ。
かよこ

大変よ、山火事になっちゃう。

つとむ ちょっと待って。携帯携帯、お。最近の山はすごいな、繋がるよ。
かよこ

どうするの?

つとむ 決まってるだろ、通報するんだよ。えーっと、
かよこ

それはいいけど、なんでそんなに嬉しそうなの?

つとむ 夢だったんだよ。火事とか強盗とか、通報するのが。言わなかったっけ?
かよこ

知らないけど。

つとむ もしもし、あ、あのですね、ウメキ山近くの消防署に連絡したいんですけど。はい。はい・・。
かよこ

ふうー、吃驚した。・・でもいいところね。火事もたいしたことないみたいだし。

つとむ

じゃお願いします。(携帯切る)かよこちゃん、すぐ消防車来るって。

かよこ

そう。

つとむ これでも俺も一人前の大人ってきがするよ。火事の一回二回は通報したいよね、なんつーの、社会人としてさ。
かよこ

でももう消えちゃうみたいよ。

つとむ

えっ。

かよこ

ほら。

つとむ

そんな。

かよこ

良かったわね。ゆっくりし浸かりましょうよ。その消防車が来るまでに堪能しないと。・・・ね、側によっていい?

つとむ

あおごう。

かよこ

え?

つとむ

あの火をあおぐんだよ。

かよこ

何いってんの?

つとむ

このままじゃ消えちゃうじゃないか。

かよこ

いいじゃない、それで。

つとむ

バカ言え。このまま火が消えたら。これじゃなんか俺が嘘ついたみたいじゃないか!

かよこ

別に嘘じゃないじゃない。

つとむ

うそじゃなくても、なんかバツが悪いだろ、それじゃ!嬉しがりって言うか!大した事ないのに、嬉しがって通報したみたいじゃないか!

かよこ

だってそうじゃない。

つとむ

わかんないなあ、もう!大人としてさ!あーもう、ホラ!

つとむかよこの手をとって立ち上がる ザパン

かよこ

いたっ、何怒ってんのよ。

つとむ

手伝ってくれ。あの火を守るんだ。君はこのバスタオルであの火をあおいで出来るだけ広げてくれ。

かよこ

何言ってんの。

つとむ

僕はガソリンをもってくる。

かよこ

やめなさいよ。何考えてんのよ、つとむさん。

つとむ

いいから、ほら!来い!

お湯からあがる

かよこ

ちょっと寒い。寒いわっ。

つとむ

こうやって!ホラ!こうやってあおぐんだ!

あおがれてパチパチと燃え上がる炎 火の粉が舞う

かよこ

アツっあつっ。

つとむ

その調子だ。任せたぞ、かよこ!

かよこ

つとむさーん!服ぐらい着てってよ!もう・・・。

かよこ

さ、寒い。あおいでないと寒いわね。

ばたばたあおぐ 火もパチパチと

かよこ

ああ、あったかい・・・私、深夜の山の中で、水着姿で何やってんのかしら・・・。

きーきーと小リスの声

かよこ

あら、かわいい小リス・・・。

きーきー

つとむ

(遠くから)かよこー、ガソリン持ってきたよー!

かよこ

そうか。・・今、あのフルチンの男からこの森を守れるのは、私だけなのね。

つとむ

(近づきながら)せっかくだから大火事にしよう。

かよこ

わかったわ、小リスさん。

つとむ

(側に来た)どうしたの?じゃ、そっちからあおいで。俺ガソリン巻くから。

かよこ

私、・・・戦う!

つとむ

えっ?

かよこ

この森は、この森は人間の手で汚してはならないのよ!

つとむ

何を言っとんだ、急に。

かよこ

えいっえいっ!

ばさっ!ばさっ!

つとむ

何してる!

かよこ

この雪で火を消すのよ。あなたの野望が達成するまえに!

つとむ

よせ!

かよこ

離して!

つとむ

あいてて!噛むな!かむな!こんな深夜の山奥でフルチンで何してんだ、俺。

かよこ

あなたの野望は私が阻止するわ!

つとむ

よせよ!消防士さん達だって、絶対期待してんだから!

かよこ

森の動物達の為に私は戦うの。離して!きゃっ。

つとむ

わっ、つかむな!

二人

わー!

ごろごろ ざっぱーん と温泉に落ちる

二人

ぷはあっ。

つとむ

このっ!沈め!沈むがいい!

かよこ

ぶっブフッ。ゴボッゴボゴボ・・。

つとむ

はっ!しまった。大丈夫か、かよこ!

かよこ

ぶっふ。

つとむ

すまない、つい本気で。

かよこ

あんたの本性が良く分かったわ。

つとむ

誤解だよ。

かよこ

えいっ!

ザパンとお湯をかける

つとむ

あつっ!あつっ!くそ。さっきまでの罪のない水遊びが半ば本気の戦いに発展するとは。

かよこ

近寄らないで。

つとむ

な、なんか買ってやるよ!

かよこ

買収する気!?

つとむ

そういうわけじゃないよ。ほら、バッグとか。欲しいって言ってたじゃないか。行きたいって言ってたラーメン屋にも連れてくよ。

かよこ

だったら。

つとむ

え?

かよこ

だったら、指輪がいいわ。

つとむ

指輪?あんまり高いのは。

かよこ

お給料の三ヶ月分よ。

つとむ

そっ!それはお前、・・卑怯だぞ、こんな時に!

かよこ

何が卑怯なのよ、結婚してよ。結婚しなさいよ!!

つとむ

素っ裸で戦いながら言うセリフじゃないだろう!

かよこ

どうだっていいのよ、もう!さあ、結婚するって言いなさい。そうすれば、私はこの森を燃やす尽くす事も辞さないわ。

つとむ

さっき森の動物がどうとか言ってたじゃないか。

かよこ

いいのよ!動物なんて!どうなの?この森を燃やしたいの?燃やしたくないの!?

つとむ

いや、別にこの森を燃やそうとかそういうんじゃなくて。消防車が来た時にちゃんと立派に火がついててくれればそれで。

かよこ

ちゅーとはんぱね!山ごと燃やすくらいの気持ちでかかってきてよっ!飛び込んできてよっ!一戦交えましょうよっ!

つとむ

何を言ってんだ。落ち着いてくれ、かよこ。

かよこ

もう、こうよっ!

かよこお湯を飛ばして火を消そうとする バシャバシャ

かよこ

消してやるっ!消してやるっ!愛の炎も消してやるっ!

つとむ

よせっ!

かよこ

くっ

つとむ

バサバサと逃げるかよこ
以下 独白っぽく

つとむ

いかん、火が消えそうだ。早くしなければ消防車が来てしまう。

かよこ

だめ、このまま温泉の中で戦っていては、なんかのぼせて来ちゃった。

つとむ

なんとかしなければ。この女を倒しガソリンをぶっかける!それしかない!

かよこ

こうなったら最後の手段。

つとむ

すまん、かよこ!

かよこ

ごめんなさい!急所を狙うわー!!

ガス!と急所にヒットするかよこのキック

つとむ

あっ・・・。

ザバーン!とつとむ湯の中に倒れる

かよこ

・・・こうするしかなかったの。

つとむ

かよこ・・・。

かよこ

静寂 お湯の音だけが・・
遠くで消防車の音

かよこ

・・・・もう、戦いは終わりみたいね。

つとむ

・・・俺がどうかしてた・・。

かよこ

愛してる、つとむさん。

つとむ

俺もだ、かよこ。

ガサガサと木をかきわける音

おっさん

ちょっとあんたら、裸で何やってんの。

かよこ

あなたは・・・。

おっさん

雷落ちたっていうから、来てみたら。

かよこ

私、守ったんです、この森を。

おっさん

何言ってんの?どうでもいいけど、ここ、うちの土地だからね。ちょっと警察呼ばせてもらうから。

二人

え?

おっさん

それ、あんたらね、温泉泥棒って犯罪だよ。

かよこ

犯罪・・・。

おっさん

ったくいい年して、最近はどうなってんだろうね。その、バカップルっていうの?あんたらみたいな。

つとむ

逃げよう、かよこ。

かよこ

え、ええ。

ザパーン!とお湯からあがって逃げる二人

おっさん

こら!あんたら!待ちんさいよ!こら!バカップル!!

二人走っている

かよこ

つとむさん!パンツ!パンツは!?

つとむ

いいから!走るんだ!

かよこ

え、ええ!

ナレーション

つとむ27歳、かよこ24歳の冬の事だった。つとむとかよこの冒険は続く・・。