389話(2003年9月12日 ON AIR)
「まな板の上の・・・」
作/大正まろん
ゲスト出演/日詰千栄(フリー)
 
病院の屋上。快晴。
男は足にギブス、車椅子に座っている。
女はだらしなく伸びた男の髪にハサミを入れている。

夢だったんだ。
何が。
屋上でこうやって誰かの髪の毛切ってあげるの。ほらCMで見たことない?
あるけど。病院の屋上だし、全然イケてないよ。
もうすっかり秋の空だね。
おいおい、よそ見しながら、
はーい。お客様、申し訳ございません。

しばし髪を切る音。

・・・トモ子、俺、
ちょっと、急に動いたら危ないでしょ。
あ、スマン。
ああっ!
何。
切り過ぎちゃった。
マジ?
ごめん。
別にどうでもいいよ。どうせ長~い入院生活だし。
嘘だよーん。
なんだ、嘘かよ。
・・・バチが当たったんだ。
へ?
って、クンちゃんが怪我したって聞いた時はそう思った。
そっか。
でもね、生きててくれてホント良かった。
そうかな。
そうだよ。・・・フラれて恨んでた男が事故って死んだとか、恐いしさ。
やっぱ恨んだ?
・・もう忘れたー。
バチ当たったか、そうだよな。仕事はクビだし、野球も出来ないし、
バチーン。(と言いつつ頭を叩く)
    <ちなみにバチと叩く擬音をかけてます> 
イテッ。
なーんて。
おいおいケガ人に、
そんなショボくれてると、新しい彼女に逃げられるぞ。
かもな。
私、クンちゃんのお陰で決心ついたし。
決心?
ロンドン。美容師の修行に行く事にした。
留学すんの。
うん。
何かスゲエな。
羽ばたいちゃうよ私。
すんげえ悔しいんだけど。
(笑)もっともっと悔しがれ。
チクショー俺も頑張ろうリハビリ。
よし、じゃ気合い入れる為に坊主にでもするか。
あ、やっぱお前さっき切り過ぎたんだろ。鏡見せろ鏡。
あれ、さっきはどうでもいいって言ってたクセに。
あーいいよ。こうなったら坊主でもモヒカンでも好きにしろ。
よーし言ったな。
いや、モヒカンはやめて。
                                                 おしまい

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