431話(2004年07月02日 ON AIR)
「ゲームボーイ」
作/上田誠
 
  男の一人語り。
大石 ゲーム面白いですねえ。僕結構ゲームやるんですけど、多分現実より面白いんだろうなーっていう。現実って、こうなんか、ゆるいじゃないですか、とかいうとなめんなって感じですけど、ゲームってもう、ギリギリの判断の連続っていうか、そういう状況って、あんまり現実にないですからねえ。こうなんか、状況を切り抜けるっていうか、乗り越えた向こうに、新しい世界があるみたいな。ロープレとかは僕だから、あんまりダメですね。ああいうのはこう、まあドラクエとか、プレイすることで、キャラクターが成長していくっていうあれなんですけど、例えばマリオとかテトリスとか、僕ちなみにテトリス日本一うまいんですけど、ああいうのってこう、自分が成長していくんですね。昨日できなかったことが、今日できるようになってるっていう。テトリスはねえ、突き詰めると、まあブロックをどこにはめるかっていう判断の連続なんですけど、そうですねえ、エンドレスっていうのがやっぱ気持ちいいですかねえ。こう、何かダメなときは、どっちにはめようとか、あそこをこうして、
とか、考えちゃってるんですけど、だんだん乗ってくると、それがどんどん考えなくなるっていうか、もう目と手で判断してる、みたいな、目と手が直結してるっていう、そういう感覚になってきて、そうなるともう、トリップですね。体の中をもう信号がどんどん流れていくっていうか、その流れに身をゆだねて、新しい世界に行けるっていう。彼女とはねえ、付き合ってるんですけど、やっぱうまくいかない、いやかわいいんですよ。かわいいし好きなんですけど、やっぱあんまりゲームとかやんないじゃないですか。っていうか、僕がやりすぎなんですけどね。僕がもうゲームの方に行っちゃうから、こないだもHしてるときに、こうまあ挿入しようとして、あれ、これテトリスだなーとか思っちゃったりして、そっからもう、テトリスのことしか考えられなくなって、だから僕がもう最悪なんですよね。もうねえ、だから最近は、これは無理だとか思って、向こうを、じゃあこっちにハメてやろうみたいな。セックスじゃないですよ。ゲームの世界にこう、向こうを引き込んで、それでこう、
バーチャルな世界で一緒にあそぶみたいな。それで結ばれるっていう、そしたらこう、なんかやっていけるかなーとかって、思ってるんですけどねえ。最近なんか、ちょっとハマってくれてるみたいだし。
「おい」

「ん?」
「テトリスしようよ。」
「お前、また?」
「うん。今日は勝つ。」
「お前、勝ったことないじゃん。」
「一矢報いてやる。」
「よーし。」
  2人、ゲームする。


おしまい
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