435話(2004年07月30日 ON AIR)
「星のOH!じさま(ほしのおう!じさま)」
作/大正まろん
 
  屋根を突き破るものすごーく大きな破壊音。ドンガラガシャーン!!
四畳半の部屋の真ん中に、瓦礫と共にシュワッチの格好で立っている男がいる。
おこんばんは。
だ、誰よあなた。何?何で?何なのよ。ウッソー、屋根、穴あいてる。
よばれて飛び出てジャーン、ジャジャーン。
呼んでない、全然呼んでない。
お嬢さん驚かせてスンみません。私はヘニャロペデロ国の王子、ヘニャロロと申します。実はとっても悪い奴に追われてるの。大ピンチなわけ。ほんのしばらく、ここにかくまってほしいの。
ちょっと何、こっち来ないでってば!助けて、おとーさーん、おかーさーん!
シっ!
シってなによ。
お嬢さん、あちらをご覧ください。
へ?・・・あーもう、どうしてくれんのよあんな大きな穴あけちゃって。だいたいあなたどこから落ちてきたの?隣のマンション?・・・あ、ひょっとして泥棒?
屋根のもっとムコウを見てちょうだい。夜空にキラリと光るあの青いお星様からワタシ来ましたのです。
星なんか一つも見えないわよ。
ああ、人間の肉眼では無理なのですね。見えないけれどあるんだよ、とジャパニーズ、フェイマスト詩人もおっしゃっているじゃあ、あーりませんか。
何言ってんだか全然わかんない。
すまんすまん翻訳機の調子めっちゃ悪いねん。
どこ、何処に翻訳機なんかあるのよ。あなた自分が人間じゃないとでも?
はい。
は?
疑ってますね。
まったくこれっぽっちだって信じられない。
じゃあ信じなくてけっこう。
え?・・・ちょっとぐらい信じさせてみなさいよ。
真実はワタシさえ知っていればいいのです。
宇宙人は、なんか特技とかないわけ?
そんな、ワタシこれといって取り柄のない普通の宇宙人なんでぇ。
謙遜とかいいから、証拠見せなさいよ。
じゃ、ユビ再生してみせっから、そこのハサミ貸しな。
いやよ、そんなグロテスクな特技見たくない。
ったくわがままな方ですね。
どっちの存在がわがままなのよ、あなたよ、絶対。
仕方ないですね・・・ではとっておきのをひとつ・・・。
何?
もうすぐ、そこの電話の子機が鳴ります。
だから?
予言です。
電話はいつか鳴るわよ。そんなインチキ占い師みたいな事言ったって騙されないんだから。
電話の相手はあなたのお母上です。あなたはお母上と話をします。そしてあなたは40日振りに、この部屋から出て行くでしょう。
え?
あなたさっき恐怖を感じた時、呼びましたね。お父さんお母さん、と。
・・・呼んだけど、それは、
憎んではいけません。自分にこもっていてはいけません。真に戦うべきは己なのです。早く目を覚ましなさい。・・でないと星が滅びてしまいますよ。
えっと、あの・・・。
  子機が、鳴る。
出たらいかがですか?
・・・(子機をとり)もしもし・・・
あなたのキオク、少し編集させていただきますね。
  修復の音が聞こえる。
そして男は再びシュワッチのポーズで空へと飛び立つ。破壊された瓦礫と共に。
叫んでた?私が?・・・ううん別に。変な夢をみただけ。じゃ・・あ、あのね母さん・・・・明日の朝ごはん、ちゃんとキッチンに行って食べるから・・・うん、おやすみなさい・。


終わってまた始まる
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