437話(2004年08月13日 ON AIR)
「ゲームガール」
作/上田誠
 
  女の一人語り。
彼がねえ、ゲームすきなんですよ。ホントもう、バカじゃないのって思うぐらい、ゲームばっかやってるんですけど、最初は、「あ、結構ゲームとかやる人なんだー」ぐらいに思ってたんですけど、ちょっと見くびってましたね。ヤバいっすよ。ゲーマーですよ。で、中でもテトリスが相当好きらしいんですけど、「俺はテトリスが日本一うまい」とか言って、もうなんか一日中やってるときとかあって、「何がそんなに面白いの?」とか「作業じゃん」とか私が言うと、「いや、ただひたすら消していくのが気持ちいい」とか「お前には分からん」とか言われて、分かんねえよ、とか思って、あんたと遊びたいんだよ、って感じじゃないですか。で、しかも一回、なんか冗談で、「ゲームと私とどっちが好き」とかって聞いたんですよ。そしたら、「うーん」とかって言って、「お前」とかって言って、「うーんって何だよ」とかって感じじゃないですか。「何本気で比べてんの?」とかって思って、もうだから、本当ずっとそんな感じなんですよ。もう、Hとかしてても、「あー、こいつ多分今、ゲームのこと考えてんなー」とかって、分かるんですよもう。で、もうだから、「この人ダメだ」とか思って、「この人はもう、向こうの世界に行っちゃってる人だ」とか思って、それで最近ちょっと考えたのは、「この人に、テトリスでで勝つ」っていう。もうだから、目には目をみたいな感じなんですけど、そうやってこう、私がもしゲームで勝って、「こいつ強えー」みたいになったら、こう、一気にこっち振り向いてくれるじゃないですか。で、「なんでそんな強いの?いつの間に?」みたいことを言われたときに、「アンタを振り向かせるためにがんばったんだよ。これが愛の力だよ。」とかって言って、それで向こうが「ガーン」みたいになってくれれば、とかって思ってたんですけど、あいつ強いんですよ!やってみたらホント強くて、「何その、テクニック」みたいな感じになって、だからもう最近はちょっとまた方向を変えて、こう、一緒にゲームやりつつ、「あーゲームって面白いよねー」みたいな、「徐々に強くなっていく私っていい感じでしょ」みたいな、ちょっとそういう心の通い合いみたいなところからはじめるっていう、弱気な作戦になってるんですけど、でもまあそうやって、こっちから向こうの世界に行くフリして、徐々にこっちに引き戻すみたいな感じで、ちょっとじゃあ今日もがんばってきます。(男に)おい。

「ん?」
「テトリスしようよ。」
「お前、また?」
「うん。今日は勝つ。」
「お前、勝ったことないじゃん。」
「一矢報いてやる。」
「よーし。」
   


2人、ゲームする。
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