441話(2004年09月10日 ON AIR)

「ゴン -待ち続ける男-」

作・表 雄一郎
そこはある田舎町。一人の男が働いている。彼の名はゴン。
この村で農家をしながら、物語を作っている純朴な男だ。
今日もいつもと同じように、農作業をしている。
ゴン
(ふと、作業をやめ)思いついた!
穏やかな朝、落ち着いた夫婦の会話が聞こえてくる。
うちの犬は賢いもんだなシェリー! 毎朝新聞を持ってくるよ。
あらジョン、それぐらいどこの家の犬でもするでしょ。
でも、シェリー。うちは一つも新聞契約してないだろ。
まぁ!
間・・・。
ゴン
うん、上出来だ・・。
そして、再び作業に戻る。
と、その田舎町の上空に一人の天使がやってくる。
彼女の名はハル。ちょっとした気まぐれで、一階層下のこの地表まで降りてきた。
上機嫌に空を飛んでいるハル。
ハル
るんる、るんる、るん。・・何かおもしろいものないかな?(と、ハル、地上のゴンを見つけ)あれ、あんな所に人がいる。
そして再び、作業をしている男。
ゴン
(場所を移動して)さあ、もう一踏ん張り・・。
と、再び作業に戻る。
と、ハルが近くにふらふらやってくる。
ハル
(ささやく様に)こんにちは・・。
ゴン
(ふと、作業をやめ)思いついた!
ある仲のいい男達の会話。
トム!雨だぜ、その傘をさせよ!
ダメだよジョン・・この傘には穴が開いてるんだ。
じゃあ、何でそんな傘を持ってるんだ?
雨なんか降らないと思ったからさ。
!(なるほど)
ハル
・・・・。
ゴン
うん、上出来だ・・。
ハル
えぇ?
ゴン、再び作業に戻る。
間・・・。そして!
ハル
あの・・。
ゴン
思いついた!
病院にて。
ドクターチャーリー、たすけてください!
どういたしました?ジョン?
どこをさわっても痛むんです!
どういう事です?
肩を触ると痛いし、膝を触ってもイテ!そして、おでこを触っても・・あいたたた・・。
なるほど、指の骨折ですね。
ハル
・・・・。
ゴン
うん、・・上出来だ・・。さ、もう少しがんばろうか。(と、作業に戻ろうとしたとき)
ハル
さっきから、なにを一人でしゃべってるの?・・って、そっか・・私たち天使は普通の人には見えない・・。
ゴン
おまえ、いつの間にそこにいた?
ハル
見えてるんだ、わたし!あなた、視力はいくつ?
ゴン
0.4と4.0。
ハル
すごい乱視ね。
ゴン
だから、毎日がくらくらさ!
ハル
コレは意外な発見、視力がいい人には見えるんだ、私たち天使の姿が・・。
ゴン
おじょうさん!
ハル
はい?
ゴン
よそ者かい?
ハル
え・・あ・・うん。
ゴン
まあ、ゆっくりしていきな。(と、作業に戻る)
ハル
はぁ、・・どうやら、天使だとはばれてないみたいね・・。
間・・
ハル
・・ところで、あなたはさっきから何をしゃべっていたの?
ゴン
ああ・・聞いていたのか。
ハル
うん。
ゴン
・・物語を考えていたのさ。
ハル
物語?
ゴン
待ちながら、物語を考えていたんだ。
ハル
待ちながら?
ゴン
俺の名はゴン。この町でずっと農作業をしている。そしてこんな俺にも愛する人がいる。
ハル
へ~。
ゴン
彼女の名はリリ。彼女は今、この町を離れ都会に行って頑張っている。有名なダンサーになるために、毎日毎日、生懸命頑に張っている。
ハル
彼女が帰ってくるのを、待っているの?
ゴン
・・いいや、そういうわけでもない。
ハル
どういう事?
ゴン
俺は一生懸命頑張っている彼女が好きだ。だから彼女の夢が叶えばいいと思っている。有名なダンサーになり、この寂れた田舎町の事など忘れ、幸せになればいいと心の底から思っている。
ハル
ふうん。
ゴン
でも・・もし、万が一、彼女が夢やぶれた時、彼女の今の夢が叶えられなくなった時、きっとこの町に戻ってくるだろう。
ハル
うん。
ゴン
その時に、彼女が笑顔を作れる様に、おれは物語を考えながら来るべきでないその時を待っている。
ハル
来るべきでないその時を待っているの?
ゴン
ああ、そうだ。
ハル
・・その女の人は、きっと幸せね。
ゴン
ああ、すごく幸せだ。
ハル
・・戻ってこないといいのにね!
ゴン
ああ・・そうだな。
と、ハル去る。
ゴン
ジョンは言った。「夢を見るためには、眠る事だ」と
そして、シェリーは言った。「目覚まし時計をかけわすれちゃだめよ!」
と、ゴン再び作業に戻る。
ハル
あれから、一ヶ月・・。今日も空からゴンの様子を見ているけれど、まだリリは帰ってきていないみたいだ。
ゴン
(作業の手を止め)思いついた!
あるアフリカ人とアラスカ人の友達の会話・・
おい、サンボ~・・・
と、ゴンの物語がフェードアウトしていく・・そして・・
ゴン
リリはやっぱり幸せだ・・。
ハルは今日も上機嫌に空を飛んでいく。