476話(2005年5月13日 ON AIR)
作/ごまのはえ
僕の意見では女子は「タヌキさん」型と「キツネさん」型に分けられる。「タヌキさん」型は容姿、性格共にタヌキを連想させ「キツネさん」型は同じようにキツネを連想させる。「タヌキさん」型の特徴は一個で「安定型」。喋り方。腰まわり、骨盤の辺、あらゆる意味で安定してるのがタヌキさん型。「キツネさん」型の特徴は一言で「敏捷性」。話を聞くとき、ATMの順番を待つとき、横断歩道を渡るとき、あらゆる局面で「キツネさん」型はあわただしいほどの敏捷性を見せつける。
はぁ。
うん。でもって狐も狸も基本的に雑食、何でも食べる動物なわけ。となると女子も雑食かって言うと、僕は雑食だと思う。
雑食?
うん。いろいろ好みはあるみたいだけど、それも後付けの理屈で基本的には雑食。でもって僕の言う「タヌキさん」型「キツネさん」型は、獲物を狙うときの狩の仕方にもその特徴があらわれているんだ。ページ二十三の右の段、図八を見てもらえるかな。
はぁ。
  ぺらぺらとページをめくる音。
その図は僕が綿密なデータをもとにつくった「タヌキさん」と「キツネさん」の男性に対する接し方の違いを棒グラフにまとめたものなんだ。ただまとめ方が雑だから基本的には意味はないと思ってくれ。
女  はぁ。
だから口頭でいうね。「タヌキさん」は最終的にずるい。「キツネさん」ははじめからずるい。
ん?
「タヌキさん」は…、
(男の言葉をさえぎるように)あの、結局なにが言いたいんですか?
ちょっとまって、まだ「結局」なんて言葉でくくれるほど説明してないんだから。
はぁ。
では本題にはいる。君は「タヌキさん」型なわけ、
…。
君は腐りかけのものは捨てるでしょう?
はい。
塩入れすぎると塩辛いでしょ?
はい。
大阪の地下鉄乗るとつかれるでしょ?
そりゃ、
ほら典型的な「タヌキさん」型だ。「キツネさん」型はすごいよ。最近では見せるためのパンツってのがあって、そのパンツは見られていいんだって、これなんか典型的な「はじめからずるい」だよね。
全然わからないんですけど。
「タヌキさん」型はその安定感で男を引きつけるんだ。つまり癒しが武器。男は忙しそうに見えるけどその仕事は、実務に三割、周囲との歩調合せに三割、あとの四割はから回りなんだ。特に文型男子はね。これはしんどい。空回りはしんどい。とくに「あ、俺、今、空回ってるな」って自覚したとき、これはしんどい。
でしょうね。
あ、わかる?
すごくわかる。
でもこの空回りって、自覚したからってとめられるもんじゃないんだよね。
そうでしょうね。
そうなんですよ。
カラカラ音がするもん。
うん。自分でも聞こえてる。そこで求められるのが君なんだ。君もわかっているとおり僕は今カラカラ空回りをしている。この空回りを止めることができるのは世界で君しかいないんだ。スイッチの壊れた扇風機みたいなもんさ、
コンセントごと抜けばいいわけね。
うん。まぁそうだけど、
わかった。
  女は何か言おうとする。が、
タンマ!違うって!僕が求めてるのはそんなことじゃないって!
は?
好きとか嫌いとかそんな乱暴な話ではないんだ。いま必要とされているのは。知性の果てにある漠然とした虚無感。宇宙に漂う我が身にともるたった一つのぬくもり。
具体的に!
(小声で)キス、とか…。
は?
(大声で)キス!して!
  雷が落ちる音。
そして男に雷が落ちた。私の意見を言わせてもらえば神様はいるってこと。そしてその神様の言いたいことは、大人にならんとね、ってこと。たぶん。

おわり
閉じる