512話(2006年1月20日 ON AIR)
「 ベーコン 」

作 / ごまのはえ

 

「やった。時給があがった。一年勤めて三十円アップ。五時間はいればサンゴジュウゴで百五十円。週に五回バイトに入ればかける五で、・・七百五十円。一ヶ月で、三千円近いアップ。さて、どうしよう」

  夕食の風景。

ねぇ。

うん?

なんかほしいものない?

はぁ?

三千円いないで。

え?

自給があがってさ、なんかプレゼントしようと思って。

え、マジ?

うん。マジ。

うーん。

最近ほしかったもの。三千円以内で。

うーん。
自分では買わないけど人に買ってもらって嬉しいもの。三千円以内で。
うーん

子供のころから欲しかったもの。三千円以内で。

 

沈黙

ほしいもの何もないの?

ベーコン

 は?

子供のころすげぇベーコンすきで、すげぇ分厚いベーコンをモシャモシャ食べるのが夢だった。

ベーコン、が、欲しいの?

ほとんどステーキみたいなベーコン。厚さ二センチぐらいの奴。

了解。

 

夕食の風景終わり。

「私は二十八歳主婦。あの人は三十歳公務員。結婚して一年目。私のパートでためたお金がまとまった金額になれば、旅行に行こうと決めている。言うのも恥ずかしいが子供をつくるつもり。そのころ私は二十九.で、三十で子供産む。すごい。ほぼ完璧な私の計画。それもこれも全部あの人のおかげ。酒もタバコもパチンコもしない。欲しいものはって聞かれてベーコンと答える。あぁいい旦那をみつけたな私。偉い。」

 

「ジュー」とベーコンの焼ける音。またも夕食の風景。

スゲー

一度ふたして焼いたから外はカリカリだよ。

スゲー!

厚さ五センチだから!

え?

だから五センチにしちゃいました!

・・おれ、二センチでいいっていったよな。

は?

二センチと五センチって、三センチも違うじゃん。

・・。

二センチの奴二枚食べて、それでも一センチあまるじゃん。そーゆうことどう思ってるの?

え?

もったいないよ。

 

 男はナイフとフォークをおく。

「夫はとても悲しそうな顔をしてナイフとフォークをおいた。私はその時、この人あほじゃないだろうかと不安になった。ほぼ完璧なはずの私の計画。けれど馬鹿馬鹿しくてこんなこと誰にも相談できない」

   
 

おわり



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