517話(2006年2月24日 ON AIR)
「 思い出ちらし 」

作 /ごまのはえ

 
女1

皆さんこんにちはいかがお過ごしでしょうか。今日は先生オリジナルのお料理、
「巻き添えまき寿司」と「思い出ちらし」をご紹介したいと思います。先生よろしくお願いします。

女2 できるかぎり。
女1 ではさっそく「巻き添えまき寿司」の具材なんですけど。
女2

基本的に彩を考えてくださればそれで結構です。ただクリスタルケイみたいな女に取られた、なんてことはめったにないと思うんですよ。三十一なら、二十三の女に、二十八なら二十三の、二十六なら二十三の、ですからちょっと素材が単調になってしまうかもしれませんね。

女1

二十三歳ってことは入社して二年目ってとこですね。

女2

興味ありませんけどね。

女1 やさしくしちゃうんでしょうね。男の人って。
 

女2は女1をにらむ。

女1 怖い怖い。では先生が教護用意いただいた具材を紹介いたします。
 

女1はフリップを見せる。

女1

黒の下着上下セット。パンスト。白地に赤い、これはイチゴでしょうか、タンクトップ一枚。薄いピンクのキャミソール。茶色い髪の毛。以上です。先生これはどこで見つけられたんですか?

女2

脱水層に置きっぱなしになっていました。毛も絡まってました。基本的にまだまだ母親が必要な女ですね。小娘です。このタンクトップ、これをブラウスの下にきて仕事するんでしょうか。考えられません。

女1

でも先生負けたんですよ。

 

女2は女1をにらむ。

女1

ではまいてゆきましょう。

女2 はい。
女2

(巻きながら)♪いつも一緒に、いーたかった。隣で笑って、

女1 先生、やっぱりその歌ですか?
女2 ・・
女1 無視されました。はい、「巻き添えまき寿司」の出来上がりです。はい。続いて「思い出ちらし寿司」のほうなんですけど。
女2

これは自分のためにつくる料理ですね。ちょっと時間がたつのを待たなきゃいけないかもしれませんが、必ずつくってください。けじめです。

女1

材料をご紹介します。写真、数枚。これは映画の半券ですか、「カンフーハッスル」。それから・・先生これは?

女2

賃貸契約書ですね。二年前二ヶ月ほどですが、同棲してたんです。
彼が書類に婚約者って書いてくれて、嬉しくて・・。

女1

なるほど。基本的に売れるものは売ってしまって、売れないもの、捨てるには儀式がいるってものを、具材に選べばいいわけですね。

女2 はい。
女1

じゃ、きっていきましょうか。

女2

・・はい。

女1 先生がんば。
女2

まずは写真ですね。彼が写っている部分を切り抜いてください。

女1

先生、元彼氏ですよ。もう彼じゃありません。

女2

・・自分が写ってる部分はそのままゴミ箱に捨ててください。

女1

え?捨てちゃうんですか?

女2 はい。
女1

どうして?

女2

決めたんです。もう終わりにしようって、

 

女2はリズミカルに「ハッハッハッ」と呼吸をし、一心不乱に米をきる。
しばらくその姿をみていた女1は少し涙ぐむ。

女2

(混ぜながら)なんか、楽しくなってきたー

女1 じゃあ写メとりますね。
 

女1は携帯で女2をとる。

女1 いえーい。
女2

先生高島忠夫みたい。

 

混ぜ合わせ終わり。

女1

「思い出しらし寿司」完成でーす。

 

女2は泣きながら寿司を手づかみで口に運ぶ。

女1

先生。お味は?

女2

 ・・やり直したい。

 

二人下を向く。

 

END



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