532話(2006年6月10日 ON AIR)
「星の下」

作・司辻有香(辻企画)

  
 

稔と亜沙美が同棲している家。廊下を激しく走る亜沙美の足音がして、激しく亜沙美がドアを閉める音がする。外から稔が部屋のドアを開けようとするが、亜沙美が内側からそれを阻止し、開けられない。

  

(懇願するように)亜沙美、開けろよ!

亜沙美

(激しく)嫌!開けない!出れない!出たくない!開けないで!開けないで!お願い!

亜沙美!

亜沙美

嫌!嫌!開けないで!開けないで!

  
 

ドアから手を離す稔。

  
亜沙美

止めて!開けないで!

(優しく)・・・。もう止めたよ。開けないよ。

  
 

泣きじゃくる亜沙美。

  

・・・。

亜沙美

(号泣しながら)私、沢山の人を傷付けたの。傷付けて来たの。生きてるだけで、私が生きてるだけで、沢山の人を傷付けて来たの。だから、表に出れないの。私が動くと皆が傷付くから、外に出られないの。だから、貴方の事も駄目なの。貴方が私を見る時も、貴方を私が傷付けてしまって、もう、駄目なの!私を見ると貴方も傷つくわ。

  
 

亜沙美の言葉に涙する稔。

間。

ドアを押さえていた亜沙美の力が抜ける。二人の間には時計の秒針の音が聞こえる。ドア越しに話す亜沙美。

  
亜沙美

(落ち着いて淡々と)私が生きて来ただけで、貴方も今、泣いているわ。出会った事を恨めしく思うわ。私と出会わなければ、貴方は悲しくなかった筈よ。全てにおいてそう。私と出会った人たちは皆、私と出会った事を後悔しているわ。・・・。何でだろ?何で私が好きになる人達は皆、悲しくなるの?

  
 

泣いていて答えられない稔。

  
亜沙美

・・・。貴方を何度も泣かせて、御免ね。

  
 

泣きながらも頑張って答える稔。ドアは開く事なく、ドア越しに会話していく二人。

  

(泣きながら)僕が泣き虫の所為だ。

亜沙美

貴方を傷付けて御免ね。

(泣きながら)僕がナイーブな所為だ。

亜沙美

貴方を苦しませて御免ね。

(泣きながら)僕がMの所為だ。

亜沙美

貴方を好きになって御免ね。

(泣きながら)僕が恋した所為だ。

亜沙美

私を好きにさせて御免ね。

(泣きながら)僕が亜沙美を好きで好きでどうしようもなかった所為だ。

亜沙美

・・・。

(泣きながら)もう、外に出ろなんて言わない。ずっと家の中に居ていい。でも・・・。

亜沙美

(稔を遮り)私の存在って何?!

・・・。もう、外に出なくてもいい。ずっと、自分の中に居てもいい。でも、でも、俺が亜沙美の中に入っちゃ駄目かな?亜沙美は、人を苦しめる星の下に生まれた。僕は苦しめられる星の下に生まれたんだ。

  
 

稔の言葉で泣き出す亜沙美。

  
亜沙美

(泣きながら)辛いよ。自分が辛いよ・・・。

僕が弱い所為だ。

  
くすり

うわぁ!めっちゃ風邪菌つおい。思った以上につおい。ごめん。嗚呼!止めて!うわぁぁ!!!

  
  
終わり。
閉じる