540話(2006年8月5日 ON AIR)
「 君のためにできること 」

作 /上田 誠

 

喫茶店かどこか。
呼び出された男。
女は、切り出しにくそうに、おずおずと話し出す。

ごめんね、急に呼び出して。

なに、話って。

こんなこと、山口君にしか頼めなくって……。

(力強く)僕にできることなら、なんでも。

(笑って)ありがと。……私の、彼氏のことなんだけどね?

うんうん。

……浮気してるらしいのよ。女の子と手つないで歩いてるの、
見たって子がいるの。

別れなよ。それ香織ちゃん、もてあそばれてんだよ。

最後まで聞いてよ。

ごめん……。

その彼とはもう別れるからいいんだけど、

ああ、そうなんだ。よかった……。

ただ私、今その彼氏と一緒に住んでんのね。

うん……。

で、別れたら、出てかなきゃいけないじゃない。
住むとこなくなっちゃうのよ。

うちおいでよ。アパートだし、狭いけど、2人ぐらいなら……。

だから、最後まで聞いてって。

ごめん。で、なに?

それでね、私マンション借りたの。
だけど、最近ああいうとこって高いんだよね。
急だったから、貯金とか、ほとんどなくてさ……。

お金か……何とかするよ。香織ちゃんのためなら。

だから、そうじゃなくて。

ああ、ごめん、聞く聞く、最後まで聞く。

それで私ね、バイトはじめたの。
この際だから、気分変えてやろうって思って、夜のバイト。

そうなんだ……。

だけど、1人だけ、ちょっと怖いお客さんがいてね、
ずいぶん、しつこく迫ってくんの。彼氏いんのか、って聞いてくんのよ。

僕が、その彼氏になればいいんだね。……じゃないんだ?

でね、一度ちゃんと話さなきゃって思って、
だけど会ってしゃべってるうちに、つい私、カッとなっちゃって、
ちょうどそこに、ナイフが置いてあったから……

刺したの!?

今、私の車に、つんである、

……なんとかするよ。香織ちゃんのためなら僕。

(笑って)無理だよ。だから私、その処理をパパに頼んだの。

パパ?

パパちょっとやばい仕事やっててね、だからそういう処理とかは、
お手の物なの。

香織ちゃん?

だけど、パパはその代わり、私にある交換条件を出してきた。

頼みって何なの?

ロシアのある研究所に行って、最終兵器の設計図を盗み出してくる。
それが私に課せられたミッションなの。

ミッション!?

とても危険なミッションなの、1人じゃできないの。

あの、僕にも、できることとできないことが……

だけど、そんな私に協力者が現れた。その人はある能力の持ち主でね、
いとも簡単にそのミッションをなしとげてくれたの。
その人は光の戦士でね、私にもそれと同じ能力があるっていうのよ。

能力?

ほら、見て。これ紋章なの。私たちの使命は、全国にいる仲間を集めて、
邪悪な存在ダークマターを倒すことなの。

香織ちゃん。

今、世界は巨大なダークエネルギーに支配されようとしていて、
それを封じるには、4次元の扉を開けるライトセイバーがあればいいんだけど、
それを使うには人柱が必要なの。

僕にどうしろと!?

 

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END

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