563話(2007年1月13日 ON AIR)
「 おねぼう侍 」

作 /ごまのはえ

 

こたつにくつろぐ男と女。

(突然)よ!

はっ!

とう!

ちょい!

ほっ!

もう一つ!

はい!

よ!

てい!

どうした!

はい!

せい!

はい!

もう一つ!

はい!

もういっちょ!

はい!

まだまだ!

…ほら、

え?

いつの間にかお前が仕切ってる。

   
 

電話がなる音。

   

でるなよ。

でも、

でるなって。どうせ母上からやねんから。

でもご家老の本多様かもしれへんし。

本多やったらちょくでたづねてくるよ。それに今は正月やし本多も忙しいやろ。

   
 

電話の音やむ。

   

ほら、やっぱり母上や。おそらく父上の目を盗んで電話をしてるんやろ。おいたわしい。それにしても、どこで俺の携帯番号を知ったのやら、

あ、あなた、

言うな。

…。

知ってるねん。お前が俺に内緒で国許に手紙送ってるの。

も、も、申し訳ございません!

お加根。そちをみそめて一緒になったころの俺は山田藩十八万石のお世継ぎ様だった。しかし今では親より勘当された、ごらんの通りのハッ!おねぼう侍。そちは生まれも育ちも国許ゆえ、さとごころつくのは無理もない。まだまだ花もつぼみのそちのこと、国許に帰れば合コンとか頑張ればけっこう楽しいかもしれん。良いのじゃぞ、国へ帰っても。

(泣く)

どうした?

情けのないことを申されますな!このお加根。あなた様と一緒になったその日から、あなた様と添い遂げることしか考えておりませぬ。お加根は山田藩十八万石のお世継ぎ様のご威光に惚れたのではございませぬ。あなたに惚れたのでございます。

お、お加根!

それにお加根は信じております。たとえ今はおねぼう侍でも。
いつか大事をなされるお方と!

…すまぬ、お加根。お前動くからコタツの布団がめくれてるやん、俺、風邪ひいちゃう。

あぁ、はいはい。

あー、こたつはよいのお加根。

はい。

こたつを発明した人はノーベル賞もらったのかの?

たぶんもらってないでしょう。

うーん。ゆがんだ世の中じゃ。

御意にございます。

いいやんどうせ暇やし。

いや。

正月は気分だけでももちつきしたいの。

気分もでーへんやん。口で言ってるだけじゃ。

(突然)そりゃ!

よ!

とう!

はっ!

ふぬ!

ちょい!

ほっ!

もう一つ!

はい!

よ!

てい!

どうした!

はい!

せい!

はい!

もう一つ!

はい!

もういっちょ!

はい!

まだまだ!

…ほら、

え?

またお前が仕切ってる。

あー、プラズマテレビほしい。

おくとこないでしょ!

おわり
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