606話(2007年11月10日 ON AIR)
「 エンドレス 」

作 /大正まろん

 

体温計が計測完了の音をつげる。

   

何度?

え?

今、体温計、ピピッて。

あ・・・七度五分。

けっこう熱あるし、今日は、バイト休ませてもらいな。

一人で寝てんのん、寂しいなぁ。

俺は行くで、仕事。

休もうよー。

あーほ。

やな夢みてん。

どんな。

同じ夢、何回も見る?

俺?

うん。

多分ないな。夢なんかほとんど覚えてへんし。

そっか。

そんなに何回も見る夢なん。

同じって言うか、ほんまに別の世界に行ってるみたいな・・・。

あ!

ん?

熱でた時、おでこに張るやつがあったかも。

ひんやりするやつ。

ええと、どこにしまったかなぁ(引き出しなどを探す)

あんな。

はいよ。

だーい好きやで。

わかってるでぇ。・・・お、あったあった。

・・・。

ど、どないしたん。

わからん。風邪ひいてるけど、今めっちゃ幸せやな、って思て。
そしたらなんか涙でてきた。

弱っとるのお。

ある日な突然、みんな、世界中の人がみーんな、怪獣になってまうねん。

夢の話?

うん。あたしはな、ずうっと怪獣と戦い続けてる。

怪獣ってゴジラみたいなん?

・・・赤黒い、モップみたいな、イソギンチャクみたいな・・・。

触手いっぱいあって、ぬめぬめしてるような?

そう、そんな感じ。その怪獣たちはな、絶対に死なへんねん。
刀で切っても、銃で撃っても、爆弾投げつけても。

ほれ。

えっ、何?

ひやっこくて気持ちエエやろ。

目ぇの上にまで張ることないやん。

剥がすな。

え?

ある日、一匹の怪獣が訪れこう言う。お前は一人ぼっちで、
一体何と戦っているんだって。

何であたしの夢・・・。

我々のことをお前は怪獣と呼ぶが、お前こそ、
この世の平和を乱す凶悪なモンスターではないか。

ねえ、冗談やめてや。

我々の仲間になれば、飢えることも、老いることも、病に苦しむこともない。

そんなん、嫌や。

俺のこと好きって言ってくれたろ。

好きや、好きやけど・・・。

   
 

体温計が計測完了の音をつげる。

   

何度?

え?

今、体温計、ピピッて。

あ、えと、七度五分。

   
終わってまた始まる
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