612話(2007年12月22日 ON AIR)
「 大きな猫さん 」

作 /大正まろん

私の彼は、もうすぐ三十になりますねん。

はいはい。

作家目指してるとかやらで、長い長~いバイト暮らし。

ほおほお。

毎月、自分の食いぶちすら危ういんですわ。

おやおや。

なのに、子猫を拾ってきやがった。

みゃー。

何がみゃーや、もうっ。

猫好きでしょ。

だから、もう二匹も飼ってるやん。君が拾った猫、二匹も。

あ!サンタさんからのプレゼントちゃうか。

猫、欲しいなんて頼んでないし。

みゃー子、こんなひどいこと言われてるで。引っかいたれ。

名前付けんなー。

でも可哀想やろ。放っといたら絶対に死んでまうねんで。

わかった。

飼っていいの?

子猫の代わりに、ジュンを箱に入れて公園に置いてくる。

え。

もう違う人に飼ってもらいなさい。

え、飼われてたの俺。

知らなかったんや。

そりゃ、ここはヒロコちゃんの家や。けど、家賃は払ってる。

時々ね。

飯は・・・食わせてもらってる。

洗濯も掃除もしてるし、お風呂もわかしてあげるし。おこずかいも時々。

出世払いや。

いつ出世すんねん。

信じられなーい。ヒロコちゃん、なんでそんな男と付き合ってんの。

他人事にしない。

あ、俺か、俺のことかー。はっはっはっ。

私、時々猫見てるとムカツクことがあんねん。

え、なんで。

だって、猫って自分が可愛いこと知ってるんやもん。世話させてやってんねん、こんな可愛い僕のことを、ぐらいにしか思ってないの。感謝なんかこれっぽちもしてないの。

感謝してると思うで、多分、猫なりに。

そうかな。

頼んない奴でごめんな。

え。

寒いやろなあ、外。

出てく気?

・・・。

ねえ。

みゃー子、許せよ。

え、猫?猫を捨てに行くん?

だって、しゃあないやん。

話の流れからいけば、出てくのは君やん。そんで、私が行かないでとか言って、走って追いかけて、熱い抱擁、んで話うやむやになって・・みたいな。

俺は、猫より自分が大事やし。

なんやそれ。

自分より、ヒロコちゃんが大事やし。

私すんごい悪者みたいやん。

ごめんなぁ、みゃー子ぉ。

もう、いい。いいよ、わかった。

いいの?

もうこれ以上は無理やからね。

おう。

飼えそうな人も探してみてよ。

うっす。

・・・なんでこうなるんやろ・・・。

俺、頑張るし。

え、うん。

猫の食いぶちくらいなんとかせなな。

猫だけかい。

終わってまた始まる
閉じる