616話(2008年1月19日 ON AIR)

「餞(はなむけ)」

作・大正まろん
久しぶり!
・・・連絡ありがと。
なにつっ立ってんの、入って入って。
うん。
元気しとったん?
みんなは?
ケンちゃんとヒロちゃんは、食料の買い出し。ヤッスンとタロウはお酒の調達。
他のやつらは、ちょっと遅れるって。
ふうん。
ちょう、これすごいやろ。
たこ焼き機がなに?
穴、16個もあるねんぞ。本日は、たこ焼きパーティー!!
新年会で、たこ焼き・・・。
なんや文句あるか?
ないけど。なんでそんなにテンション高いの?
思い出話聞きたいか?
ううん。
あれは、僕が初めて友達のお誕生日会にお呼ばれした日のことです。
聞きたくないって言ってんのに。
僕は弟にせがまれて、お誕生日会に連れて行くことになりました。メインイベントはたこ焼きパーティ。しかしなんと言うことでしょう。お誕生日会に集まったのは九人。たこ焼き機の穴は8個だったのです。
えっと・・・。
わからんか、このセツなさ。
人数が九人で、たこ焼きは一度に八個しか焼けないってことがセツないの?
焼けるまで結構時間かかんねや。やっと焼きあがっても、一人は食べられへんわけやろ。弟を連れてきてしもた僕のプレッシャーわかるか?あん時、俺は、大人になったら一回でぎょうさん焼けるたこ焼き機を買う、て誓ったんや。
今日、何人来るの?
ええと、9人。な、全然大丈夫やろ。
あれ。
なに。
九人のうち二人は、一個しか食べられないね。
ほんまや。
私、やっぱ帰る。
あ、いや、そんな意味で話ししたんちゃうで。
うん。・・・やっぱみんなに合わせる顔がない。
実力認められて、引き抜かれて、チャンスをつかんだ。めでたいことやん。お祝いしようや。
カンちゃん、その初めてのお誕生会で、たこ焼き食べなかったんでしょ。僕、お腹いっぱいだから、とかなんとか言って。
う・・・。
カンちゃんは、いい人だ。
寂しい言い方すんなや。
私、みんなに許されたいと思ってここに来た。でも間違ってた。私のこと許さないでいい。これから色んな人を蹴落として、どんなことしてでものし上がってく。そのつもりだから。
たこ焼き、食べたよ。
え。
みんなかわりばんこに我慢してくれて、かわりばんこに食べた。だから余計にうまかったんかな。
そう。
応援してるし。
応援しなくていい。
じゃあアカンようになって、はよう俺らんとこに戻ってくるように祈ってるし。
絶対に戻らない。
うん。
じゃあ。
じゃあ、またな。
バイバイ。
終わってまた始まる