637話(2008年6月14日 ON AIR)
「 二人ぼっち 」

作 /大正まろん

ゲスト出演・服部まひろ

 

雨が降っている

   

雨。

降ってるなぁ。

なんか海にいるみたいや。

部屋ん中まだ空っぽやから、よう聞こえるんやな。

そっか。

降るって言うてたっけ。

ううん。

まいったな・・・。

   
 

少しの間

   

二人ぼっちって感じ。

二人ぼっち、取り残された寂しい響きや。

ここは、雨に閉ざされた島なの。

でた、チエちゃんの妄想ワールド。

二人はどこにも行けへんし、この島には誰も来おへんねん。

ずっと二人かいな。

二人ぼっちで、しみじみ暮らすねん。

しみじみとは暮らせんで、ぜーんぶ自分らでせなアカンのやろ。

二人しかおらんからな。

狩りしたり、火おこしたり、稲作とかもして、チエは機織とか、水汲みとか、川で洗濯とか、そんなん大忙しやで。

ショウゾウさんの方が、はげしく妄想してるよ。

ディティールが気になるやん。

このまま時間が止まればいいのになって思っただけ。

チエ。

はい。

嫌なんか、結婚すんの。

ふふっ(足を男に絡める)

足、冷めた。

ショウゾウさん、ぬくいな。

・・・嫌なん?

嫌やないよ。

ほんまに?

ほんまや。けど・・・

けど?

今、満ち足りてるから。先へ進むんが怖いねん。

怖ない、怖ない。もっと、幸せになるねん、リミットないねん、どこまで行くねんっちゅうくらい、幸せうなぎのぼりぃ。

んなわけない。

んなことあるの。

・・・何時?

五時少し前。

あと六時間後には、ウエディングドレス着てんのか。

やむかな。

雨降って地固まるとか、誰か言うんやろな。

うちの会社の上司、絶対言うわ。

ワタシの父さん、大泣きするんやろな。

オレも怖いで。

え。

二人の間に色んなもんが流れ込んで、気持ちが見えんようになったり、すれ違ったり。

うん。

でも、今、チエの足あったまって、オレの足は少し冷えて、同じ温度になってる。

ショウゾウさんの足か、ワタシの足か区別つかんくらい一緒の温度。

こんな感じでいこや。

一緒の温度。

時々、二人ぼっちでしみじみ島に行って。

うん。

   
 

雨の音は、波音のように響く

   
終わってまた始まる
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