683話(2009年5月2日 ON AIR)
「 水辺から見る街 」

作 /大正まろん

いっぺん乗ってみたいねんなぁ。

ん?

あの遊覧船。

あれ乗ったらどこに行けるん。

川をずっと行ってまた戻ってくるんちゃうん。遊覧船やし。

どこにも行けんのか。

どっか行きたいんやなくて、

水かて、ぜんぜんキレイちゃうし。

見てみたい。

なにを?

揺れてんねん。

揺れてる?

乗ったことないから想像やで、想像やねんけど、水辺から見た街はきっと揺れて見えんねん。

あ・・・あるそんなん。

どんなん?

自分が地球を回してる、みたいな感じする時ない?

ない。

私は同じとこで足踏みしてるだけ。そしたら地球が動いてくれて、行きたい場所がずんずんって近づいてきてくれんねん。

せやからお前、地図見る時クルクル回すんか。

それはまた別。東西南北とかようわからんし。

太陽見たらわかるやん。

夜はどうすんのんよ。

なんて言うか、鳥の目線になって俯瞰すんねん。

ええねん、私はキミと違って地を這う虫やから、前後左右で生きていくねん。

なにそのヒネた言い方。

自信があるときだけやし、

なにが。

そうやって行きたい場所が近づいてきてくれるみたいな感覚。

しぼんだ風船みたいな顔してんぞ。

私を雇てくれる会社なんかあらへんのかもな・・・。

俺の嫁さんになるか。

・・・やだ。

フラれてもうた。

今そうなったら逃げ場にしたみたいやん。

今ならオトセル、て思てんけどなぁ。

なーんやそれ。

ゼイタクやて言われると思うねんけどな、

なんよ。

なんや息苦しい。今日も明日も明後日も、一年後も十年後も四角いビルの中でパソコンと向き合って、気がついたら一生が終わってんのか、て・・・。

ゼータクゥ、と言うてあげよう。

ほんまは揺れてんねん。人の心も、会社って組織も、ビルも道路も、揺れ続けてる。昨日と今日が連続してることの方が奇跡やねん。けど、なんぼ吸っても吸っても新しい空気が入って来おへん。

船、乗りに行こか。

え。

揺れてんねんやろ、水辺から見た街は。

多分。

明日が見えん私も、見えすぎてタイクツしてるキミも、揺れてんねんやろ。

きっとな。

じゃあ、船の乗り場まで競争な。ヨーイ、ドン!!

・・・って、そっちちゃうで~!!

   

終わってまた始まる

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