692話(2009年7月4日 ON AIR)

「まゆかけババァ」

作・ごまのはえ
行為の後。
女は男の腕枕、男はぼんやりしている。
まゆ、
は?
え?
いま、まゆって言わんかった?
え?
誰よまゆって?
え?
誰??
だから、
もしかして、…、
違うよ。そんなまゆとか全然違うよ。
じゃだれよ。
だから、まゆは、…だから、まゆかけババァの話でもしようかなって、
はぁ??
知らん?まゆかけババァ。妖怪。妖怪。
…。
マジやって。白い繭をプーーーーって噴出して、サナギみたいにぐるぐる巻きにする妖怪。俺が大学の頃さ、雪山で遭難しかけたことあるって言ったやん。そん時山小屋があってさ。そこで出合ったもん。まゆかけババァ。マジマジ。
ほんと??
ほんとほんと。そこで助けてもらってさ。「このことは誰にも話してはいけません。もし話すと、
「プーーーーーーー」と女は糸を吐く。
おいおいおい。マジー。これまゆ?ウソウソウソ。まゆかけババァとかウソやから、出合ったことないって。作り話やから。
じゃまゆって誰よ。
その前にお前誰やねん。こんなまゆ吐きやがって。ぐるぐるするな!殺す気か。
まゆって誰よ。
まゆ、は、まゆ、
やっぱり何か隠してるんや(少し涙声)
痛い!まゆを、こら吐くのやめろ。締め付けるなって、
全部喋ってよ!
その前にお前は誰やねん?
ごまかさんといて!
女は男をぐるぐる巻きにする。
前の彼女じゃ!まゆみ。
…何で?今は私と一緒にいるでしょ?
ごめん。
なんで今そんな名前言うの?
だからごめん。
…なんで正直に言うのよ。
は?
むしろごまかしきってほしかった…。
女はさらに繭を吐き(プウウウウウウウ!)男をグルグル巻きにする。
どうすればよかってん!!!!!!!
おわり