695話(2009年7月25日 ON AIR)

「地球最期の唄」

作・山内直哉
ゲスト出演・吉川莉早(悪い芝居)
野外ライブ会場
大きな歓声
ありがとう。えー、バンドのメンバーを紹介します。ギター、いっちゃん!
ギターで答える
大きな歓声
ドラムス、くまさん!
ドラムで答える
大きな歓声
ベース、我らがリーダー、ノリちゃん!
ベースで答える
大きな歓声
そして、ボーカル、エミ!
ありがとう!
大きな歓声
えー、アンコール。次で、最期の曲になります…ね、ノリちゃん
そうだね
えー、地球滅亡の最期の日に、こうやって私たちの唄を聴きに来てくれて、
ホントに感謝しています。ありがと
大きな歓声
最期の唄の前に、ノリちゃん、何か言いたいことある?
あ、いい?
いいよ
えー、よく、昔から冗談で、地球最期の日に何を食べたい?って聞かれて、唐揚げって言ってたんだけど、それ、実現…
しちゃう?
いいすっか?
持って来た?
うん…ホラ
大きな歓声
じゃあ、どうぞ実現しちゃって下さい
では、一万人の前で。失礼します
男、唐揚げを食べる
どう
…うまい
大きな歓声
(男に)色々ね、あったけど…喧嘩もしたよね、ノリちゃん
(口もごもごしながら)したね
(観客に)実は一度、音楽性の違いで解散しそうになったんだけど(男に)でもね、何か、今思うと、ちっぽけだね
そうだね
食べ終わった?
ごちそうさまでした(観客に)みんな、ごちそうさまでしたあっ!
大きな歓声
ドラムやギターも同じ気持ちで答える
女は、生きて来たことを振り返り、感慨深く優しく笑う
では、そろそろ
そうだね。彗星が…
…ぶつかる前に
…では、最期の曲、行きます!
大きな歓声
最期の曲は、私たちの原点であり、みんなの心の中にもきっと大切に宿っている、唱歌を、アカペラで唄います。で、ノリちゃんは
僕は、得意の声帯模写で、鳥の鳴きマネを
コラボ、イエーイ
大きな歓声
そういや、最近、鳥、見てないよね。どこ行ったんだろ
(笑って)さっき、唐揚げ食べた人が何か言ってるよ
大きな笑い声
では、最期の唄、ありったけの感謝の気持ちを込めて唄います…『故郷(ふるさと)』
男が鳥の鳴きマネをする
女は唄う。唄の途中にも時々、鳥が鳴く
♪(1番)兎追ひし かの山/小鮒(こぶな)釣りし かの川/夢は今も めぐりて/忘れがたき 故郷(ふるさと)/
(2番) 如何(いか)にいます 父母/恙(つつが)なしや 友がき/雨に風に つけても/思ひ出(い)づる 故郷…
彗星がやって来るその時まで、女は唄い続ける―