746話(2010年7月17日 ON AIR)

「遅咲きの花嫁のために」

作・大正まろん
寝入りばな、女はなにかを思い出し目を開いた。
あ。
ん?
天気予報見るの忘れてた。
天気・・・。
わかる?
んー、雨だったか曇りだったか。
そりゃまずい。
せっかくいい感じでウトウトしてたのに。
ごめん。確認しときたいの。
明日、なんかあったけ?
結婚式。
友達の?
ううん。
誰、芸能人?
私の。
え?
なーんて。へへへ、ビックリした?
いや、意味わかんなかっただけ。
早く嫁にしてくんないと、知らないぞー。
って言われても、まだ、見習い中の身分だしなぁ・・・。
うちの父さんさ、ヨシオ君は、石橋を叩き過ぎて、叩き割ってしまうようなトコがあるからって心配してた。
明日、誰の結婚式なの?
今日、カットに来たお客さん。
あ、そう。
(携帯で調べ)あ、やっぱ雨っぽい。88%ってビミョーに望みあり?
88、末広がりな。
ほんとだね。
石橋、叩き割るか・・・。
時間差で落ち込むなよ。
大学院まで行ったのに、結局、違う仕事に就くことになっちゃったしさ・・・。
私、実はよくわかんなくなってさ。
俺のこと?
え、違う違う。やだもう何心配してんのよ。
いや、ははは。
私もね、ヨシオと同じで、結婚するからには、いろいろ目処がたってからでなきゃって思ってんだけど。明日、花嫁になるってお客さんってさ、79歳のおばあちゃまなの。
うそ、まじで?
タイミングを図っているうちに、恋人と生き別れてしまって、再会した時にはもう互い家庭があったんだって。だから、いつかの未来、二人が夫婦になっても悲しむ人が居ない状況になったならば、結婚しましょうって約束したんですって。それが明日、
叶うわけだ。
60年かかったって。
ほとんど奇跡だ。
・・・たとえそれが一瞬の晴れ間だとしても、信じて歩きだすのよって。
言われたの?
言われたのか、言い聞かせてたのか・・・だから、明日は晴れて欲しいなって思うじゃない。
あれ作ろう、
なに?
てるてる坊主。
え、そんなの効くかな。
すごいんだから、俺の作るテルテルちゃんは。
テルテルちゃんて。・・明日、早いんじゃないの?
ん、まあね、大丈夫だよ。
よし、じゃあ、作ろう。
終わってまた始まる