915話(2013年10月12日 ON AIR)
「私たちの一週間」

作・益山貴司
ゲスト出演・堀江勇気

月曜日。こんなにゆっくりな平日の朝を迎えたのはひさしぶりだ。布団のなかで「いいとも」を見たのなんて学生時代いらい。腕枕がしびれて、そっとあっちゃんの頭から右腕を引き抜こうとしたら、思いっきり噛み付かれた。
本気になって怒鳴ると、彼女はけらけら笑い出した。「二人で同棲始めた時にもおんなじことあったね」っていうけど、そうだっけ?

  

火曜日。残り六日間。6は私のラッキーナンバーだから、今日はいいことありそう。って思ってたら、前から気になってたフレンチをよし君がおごってくれた。おまけにすんごい高いワインつき。財布の心配してあげたら、お金よりも君との楽しい時間の方が大切だって。格好つけんなよな。

  

水曜日。朝寝は昨日までで、今日は日も昇らないうちから二人で起き出して近所の公園を散歩。こんな時犬がいたらいいのにねってあっちゃんが言うからお昼ごはんのついでにペットショップでチワワを買ってあげる。すごく喜んでくれたけど、すぐにお店に返した。だって、チワワが彼女にあまりにも早くなついてしまったから。

  

木曜日。残り4日って、思わずつぶやいてしまったけど、今日限りでもう数えないようにする。それはヨシ君も同じだと思う。恥ずかしくて押し入れにしまってた、お揃いのTシャツ着て映画館をハシゴする。一本目はおもいっきり笑って、二本目はちょっと泣いた。ヨシ君はそんな私を見て泣いた。
泣かないでよ、恥ずかしいから

  

金曜日。雨。傘なんていらない。雨に打たれたいっていうあっちゃんと相合い傘をしようとする俺とでケンカになる。結局、いきは相合い傘で、帰りは雨に打たれようってことで決着する。雨は冷たかった。つないだ彼女の手のひらは温かかった。二人でお風呂に入って背中を流し合う。恋人ってゆうよりほとんど親子みたいに

  

土曜日。晴れたから洗濯。私のやヨシ君のを干しながら、人間も洗濯出来ればいいのにって思う。体の悪いところや、嫌な思いでとかが落ちてしまえばいい。お日様に干してなにもかもが新しくなってくれれば、とってもらくちんなのに。お昼からドライブ。運転手付きのすんごく大きい車。また無理する。自転車でいいのに、私は

  

日曜日。遊び疲れて、なんにもしたくない二人。お昼ご飯は俺がつくって、晩ご飯はあっちゃんが仕度した。まるで老夫婦みたいな時間が流れて、早くに布団に入り、彼女の寝息を聞きながら、明日について考える。朝、出て行けば、あっちゃんはもう二度とこの家に帰らないだろう。次に会うときは、病院のベッドの上で、寝息も立てずに眠る彼女だろう。月曜日の歯形はまだ腕にある。いつまでもありつづければいいのに

  
  
(了)