956話(2014年7月26日 ON AIR)
「美味しいカレーの作り方」

作・ナカタアカネ

具合どう・・・・・熱、まだあるかな?

ごめんね・・・・ご飯の用意・・・・。

大丈夫、今日は俺がやるから・・・・そのまま寝てて。

でも・・・・。

ちょっとしたもんなら、作れるし・・・・何か食べたいものあったら言ってよ。

うーんとね。

  
 

氷水にタオルを浸して絞り上げる音。

  

・・・カレーが食べたいな。

・・・・えっ?

美味しいカレー、食べたい・・・・・。

ええっと・・・・やっぱり風邪の時は、うどんとか・・・・って、寝ちゃってる。

(ぐっすり)・・・・・・・・。

なんで・・・リクエスト聞いちゃったのかなあ・・・・実は料理なんて出来ないし。
素麺とか冷やしうどんなら、俺にも出来ると思ったんだけど・・・・。
それか、みかんとか桃の缶詰とかって言うと思ったんだけど・・・子供じゃないもんなあ。
いっそのこと、聞かなかったことにしようか・・・・それともレトルトにしようか。

・・・・・カレー、食べたいな・・・・・。

寝言・・・・もう、お嫁ちゃんにここまで言われたら・・・やるしかないよなあ。
あれって・・・どうやって作るんだろう・・・・炒めたり煮込んだりするんだろ?
時間かかるのかな・・・・・・とにかくなんとかしないと・・・・検索・・・検索。

  
 

スマートフォンで入力する音。

  

(打ちながら)カレー、スピードメニュー・・・・・あった。
ホールトマトと茄子と鶏肉で簡単カレー。

  
 

バタバタと戸棚や冷蔵庫を開ける音。

ホールトマトの缶詰、よし!茄子よーし!玉ねぎよーし!・・・・・鶏肉・・・・ない!?
どうしよう・・・・ええっと「鶏肉がない場合はツナ缶でも可」!?
えーと、何処だ・・・・・あった!良かった・・・・・・。
よし・・・・やりますか。

  
 

ぎこちなく、包丁で切る音。

  

茄子は乱切り・・・・・って何だろ?
こんな感じかな・・・・・違うかな・・・・・いや、乱れて切るって書くからいいんだよな。
玉ねぎ・・・・・・・うう、目に染みるなあ・・・・涙止まらないし・・・・・。
あいつ・・・・毎日こんな大変な感じで、御飯作ってるのか・・・今度からもっと優しくしよう、ホント・・・・。

  
 

炒める音が聞こえてくる。

  

うん・・・・・なんか、料理っぽくなってきた・・・・いい感じいい感じ!
よし・・・次はどうするんだ・・・・えーと、「カレー粉を加えて更に炒めます。」
うんうん・・・・・・あれ、カレー粉って何処にあるんだよ・・・・・。

  
 

台所の戸棚の引き出しを開けて探す男。

  

一番、肝心な・・・・・カレー粉がない・・・・・どうしよう。

  
 

コトリと何かを置く音。

  

はい・・・・カレー粉。

良かったあ・・・・ってごめん、起こしちゃったよね?

ううん、大丈夫・・・・・何かいい匂いがしてきたから。
本当に作ってくれるなんて思わなくって・・・・・。

びっくりしたっていうか・・・・危なっかしいよなあ、きっと・・・・ははは。
もうちょっと待ってて・・・・出来たら、起こすから。

大丈夫。

でも・・・・・。

なんかね・・・・嬉しくなったから、ちょっと元気になったみたい。

そっか・・・・そんなに食べたかったんだなあ。
お前・・・・・好きだもんなあ、カレー。

それもあるんだけど・・・・。

ん?

私のために・・・・一生懸命、カレー作ってくれるのがやっぱり一番・・・嬉しいかな。

  
 

2人、少し笑う。

  

(照れ隠しのように)ええっと・・・カレー粉ってどれぐらい入れるの?

もうちょっと・・・。

これぐらい?

そうそう。

  
 

2人の楽しそうな会話が台所で静かに響いていく。

  
  
  
終わり