975話(2014年12月6日 ON AIR)
「足」

作・ピンク地底人3号

彼女に出会って半年になる。

  
女1

ねぇ。私の身体のパーツでどこが好き?

え?またそれ?

女1

いいから言って。

なんでいつもそんなの言わせたいの。

女1

お願いお願いお願いお願い。

いや別に言うけどさ、へるもんじゃないし言うけど・・・

女1

(遮って)私の身体のパーツでどこが好き?

あなたの綺麗な足ですよ、足。

女1

もっと言って。

もっと?

女1

蹴られたい?

そーいう趣味はないよ。

女1

ふぅん・・・まあいいけど。

  
 

  
女1

足、撫でてよ。

 ・・・うん。

  
 

衣擦れの音。

  
女1

私、少しだけ未来がわかるの。この話したっけ?

(少し眠そうに)うん。

女1

ぼんやりしてるけど、その未来はいつも正しいの。

うん。

女1

聞いてないでしょ。

聞いてるよ。

女1

あのね、あなたに覚えておいてほしいのよ。私の足のこと・・・
私、顔は不細工だからむしろ忘れてって感じ。
だから足だけ。それしかいいところないんだからさ。

そんなことないよ。

女1

しっかり脳裏に焼き付けてね。あたしの綺麗な綺麗な足のこと。

  

半年後、彼女はどこかへ消えてしまった。
違う人を好きになったのかもしれない。
あるいは深入りを避ける俺の一歩引いた態度が彼女には物足りなかったのかもしれない。
こうなることはお互いわかっていた気がする。
結局、俺はそのあと会社の同僚と結婚した。

  
女2

足が好きなの?

え?

女2

だっていつもすごい撫でてくるし・・・

ああ・・・別にそーいうわけじゃないんだけど。

女2

ちくちくしない?

(笑って)大丈夫。それてるよ。

  

俺は妻とベッドで話しながらも、さっきから視線を感じている。
ベランダに目を向ける。
カーテンの横で、ぶつ切りにされた綺麗な足がすらり、俺を見ている・・・

  
  
終わり