976話(2014年12月13日 ON AIR)
「ホシノオウジサマ」

作・ナカタアカネ

  
 

寒風が吹き抜ける音。

  

うう・・・・寒い。
心の寒さか、体の寒さ・・・・・どっちが原因だろ・・・・心だよなあ、やっぱ。
(涙ぐんで) なんで・・・・フラレたのかなあ・・・・。
なんで・・・・クリスマス前なんだよ・・・・・。
っていうか・・・・クリスマス前にフラレるのってなんで?
どうせ別れるなら、クリスマス終わってからにしてよ・・・・・。
いや、別れる前提みたいな付き合いしてたわけじゃないんだけど・・・・・。
もう・・・・何、ずっと一人でぶつぶつ言ってんだろ・・・・俺しかいないのに。

  
 

  

なんか・・・・泣き声が聞こえる・・・・・自分が悲しいからって空耳すぎるだろ。

王子

うう・・・・・ママ・・・・・・。

そうだよな・・・・人寂しいんだよ、恋しいんだよなあ・・・・・ママが・・・・・え?

王子

ママ・・・・・ママ上さまあ・・・・。

迷子かな・・・・何処にいるんだろ、すごく近くで聞こえるんだけど。
おーい・・・・・泣いてる子・・・・・何処にいるんだ、出ておいで・・・
一緒にママを探してやるからさ。

王子

うう・・・・ここです。

え?

王子

ここ・・・。

何処?

王子

もう、ここだって!

  
 

ピュン。

  

わっ・・・・何か飛んできた。
星の飾り・・・・ピカピカ光ってる。

王子

飾りとは、失礼な!

喋った・・・・・!?

王子

ボクは飾りじゃないぞ・・・・正真正銘の星の子・・・・・星の王子様だ!

ホシノオウジサマ?

王子

いかにも。

俺・・・・・とうとうおかしくなったのかな・・・・。

王子

ボクに会えるなんて・・・・おじさんは、とてもラッキーなんだぞ。

おじさん・・・・せめて・・・お兄さんって、言ってくれないかな?

王子

では・・早速参ろうぞ!

何処に?

王子

先程言ったではないか・・・ママ上さまを探してくれると。

ああ・・・・・そうだった。
ママとは、どこではぐれたんだ?

王子

宇宙の彼方から、ここに飛んでくる途中で・・・・・。

なんとアバウト・・・この幻影と幻聴。

王子

これは現実に今、おこっているのだぞ。

で・・・・王子様、君は何しにこの星へ?
まさか・・・・地球侵略とか!?

王子

失礼な、そんな物騒な用件ではないぞ。

じゃあ、何?

王子

えっへん・・・・・クリスマスだ。

クリスマス?

王子

さよう・・・・年に一度の聖なる夜を照らすためにやってきたのだ。

毎年、きてるの?

王子

ううん、今年で初めて・・・・ボクは方向音痴だから・・・・。

だから、お母さんと一緒・・・・
クリスマスを君に任せて大丈夫かなあ・・・。

王子

うるさーい!聖なる夜を照らす一人星になってこそ、星の王になれるんだ!

でも・・・・・・ママがいないと、それも難しいんだろ?

王子

そうだ・・・・・・ママ・・・・ママ上様。

おいおい、泣くな・・・・・きっと、今頃ママも探してるだろうな。
しかし、いくらピカピカに光ってても・・・夜だしこんなに広くちゃ難しいかも。

王子

・・・・・・うう、どうすれば。

あっ・・・・そうだ!
王子様・・・・・あの大きな木の上まで飛べるかな?
あのてっぺんでピカピカしてればきっと、ママがお前を見つけてくれる。

王子

なるほど・・・・ママ上さまー!

  
 

ピュピュン。

  

お、飛んだ飛んだ・・・・・木の上でピカピカしてまるでクリスマスツリーだな。

  
 

ピュン。

  

流れ星・・・・・・あ、急に止まった。

女王

ぼうやー、そこにいたのね。

王子

ママ上さまー!

おっ・・・ママ上様か・・・・・おーい、王子様・・・・良かったなあ!

王子

ありがとー!

女王

ありがとうございます・・・・
お礼にあなたの願いを1つ叶えます。
3回、願いを唱えてくださいね。

じゃあ・・・・・恋・恋・恋!

  
 

シュシューン。

  

あ、消えた・・・・。

  
 

電話がなる。

  

もしかして・・・・もしかすると・・・(出て)もしもし・・・。

  
 

音楽が嬉しそうな男を包み込むように聞こえてくる。

  
  
  
おわり。