ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル2008
“夢見マス。クリスマス。”

第4話(2008年12月23日 ON AIR)
プレゼント

作 /ごまのはえ

キャスト ぼく 冨永 茜
  パパ 腹筋善之介
  おじさん 山田一幸(朱亜sh-A)
  ママ 大石美子(維新派)
 

ぼく

それはクリスマスイブの夜。ヒソヒソ、声が聞こえてきた。パパと知らないおじさんの声。ぼくは眠ったフリをして黙ってじーっと聞いていた。だけど‥、

   
パパ

困ります。

おじさん

でも仕事ですから、

パパ

でも私は父親ですよ。

おじさん

そう仰られても、

パパ

父親として判断してるんです。

おじさん

いやでも誠くんがお願いしてることですし、

パパ

だからって何でもハイハイ聞いてちゃ、教育にならんでしょ。

おじさん

ですが、私のほうとしましては、

パパ

あなただってサンタなら、子供のこと考えてくださいよ。

おじさん

サンタだからこそ、子供の願いは聞き届けたいんです。

パパ

でも、

おじさん

今どきいませんよ。私らのことを本気で信じてるお子さんなんて、ここらじゃ誠くんくらいです。どうしてもかなえてあげたいんです。こんな幼い字で、こんなちっちゃい靴下にたたんで入れて、可愛いらしいと思いませんか?

パパ

そりゃ、まぁ、

おじさん

お願いです。プレゼントさせてください。

パパ

でも、‥これはね、

おじさん

そりゃ、ま、お父さんのお気持ちもわかりますが、

パパ

なんでこんなものを、

おじさん

今の子はわかりませんわ‥‥

   
ぼく

やった!やっぱりサンタさんはいたんだ。メチャメチャ嬉しい!けどなんかもめてるみたい。どうやらぼくがお願いしたプレゼントが問題みたいだ。もーどうしてパパに見つかっちゃうかな。ガンバレ、サンタさん!

   
パパ

常識で考えてください。こんなの子供のプレゼントととしてふさわしいですか?

おじさん

いや確かに、私も初めてですよこんなものプレゼントするの。でもなんとなく子供らしくもないですか?

パパ

らしくないです。全然子供らしくない。もっとあるでしょ、もっと子供らしいのが、

おじさん

絵本、おもちゃ、

パパ

そう。

おじさん

女の子ならお人形。男の子なら天体望遠鏡。

パパ

そう。

おじさん

ありましたね。そういう時代も。ま、今じゃどこいってもDSP、DSPですけどね。

パパ

DSP?

おじさん

ゲームですよ知らないんですか?

パパ

あぁ聞いたことあります。

おじさん

もってないんですか?誠くん。

パパ

うちはテレビゲームはさせませんから、

おじさん

最近の小学生はこれをもってないとたいへんなんですよ。

パパ

え?

おじさん

いろんなソフトもありますし、友達と対戦もできるんです。だからこれもってないといじめとかに遭うこともあるそうですよ。

パパ

へー。

おじさん

誠くんほしがりません?

パパ

いや、まったく。

おじさん

やっぱり今どき珍しいお子さんだ。

パパ

ですかねー。

   
ぼく

ぼくはDSPなんか欲しくない。ぼくが欲しいのは一つだけだ。この一つさえあれば、他には何にもいらない。今その夢がかなおうとしてるのに‥‥
ガンバレ!サンタさん!

   
 

ママ登場。

   
ママ

ちょっとご近所に迷惑でしょ。

パパ

いやこの方がね、

おじさん

どうも、

ママ

‥どうも、

おじさん

サンタです。

ママ

(びっくりして)え?サンタさん?

おじさん

はい。

ママ

(大きな声で)まこと!

おじさん

(ママを制し)やめて!

ママ

どうして?

おじさん

いや規則でして。サンタは子供に見つかっちゃいけないっていう。

ママ

へー。

おじさん

はい。

ママ

大人はいいんですか?

おじさん

ええ、大人は。

ママ

でも誠喜ぶわ。あの子、本気でサンタさん信じてますから、

おじさん

ありがとうございます。だから私どももこうしてお伺いしたわけです。

ママ

嬉しいわー。早く教えてあげたい。

パパ

それがそうでもないんだよ。

ママ

え?

パパ

これ(紙切れ)誠の靴下に書いてあったお願い。読んでみなよ。

ママ

(黙読し)あらら、

パパ

どう思う。

ママ

で、サンタさん今日これをお持ちになって来たんですか?

おじさん

ええ。もちろん。

ママ

見せてください。

おじさん

はぁ。

   
 

おじさんは袋をあける。

   
ママ・パパ

ホォーーーー。

   
ぼく

ぼくがサンタさんを信じてるのは、このプレゼントが欲しいから。幼稚園のころ、ぼくはちっともサンタさんを信じてなかった。だってトナカイじゃ空は飛べないし、うちには煙突はないし、もし次の朝プレゼントが置いてあっても、それはサンタさんじゃないよ、お父さんなんだよ。ぼくがそう言うと、ヒマワリ組の大石先生は「サンタさんは信じてる人のおうちにしか来ないのよ」って、そういった。あれから5年、ぼくは信じることにした。サンタさんはいるんだって。だって「アレ」が欲しいから。心のそこから信じることにした。そしたら本気で信じはじめて。いまぼくの目の前に「アレ」が、‥‥ガンバレ!サンタさん!

   
おじさん

いや、さすがに持ち運べませんので、ここに書類をもってきています。

ママ

ほんとうに下さるんですか?

おじさん

ええ。もちろん。

ママ

ちょっとすごいじゃない。

おじさん

じつは私共のほうでも問題にはなったんですがね、そんなものあげていいのかって。でも、ご存知のように、私たちサンタは心から信じてくれているお子さんのところにしか、落下することができません。あ、「落下」って言うんです。昔のなごりでね。なので、年々仕事は減ってまして、今年なんてこの地区で落下するのは、お宅だけですからね。

パパ

でもこんなこと、あなたがたの一存で決めていいんですか?

おじさん

もちろん色々協議しましたよ。上に横に、関係各所と詰め合わせました。
で、まぁ結論は、この際、あげちゃおう、と。

パパ

この際って。

ママ

じゃ、ほんとに誠のものになるんですか?

おじさん

ええ。プレゼントしちゃいます。

ママ

あの子ったら、

パパ

うーん。

おじさん

どうかもらっていただきたく。

パパ

でもね。

ママ

もらっちゃいましょうよ。

パパ

でも、

ママ

もらえばいいのよ。

パパ

‥‥じゃ、いただきましょうか。

   
ぼく

やったぁ!

   
 

歓喜する誠くん。荘厳な音楽。
けれど次第に目覚まし時計の音がその世界をやぶる。
そして朝。
目覚まし時計を止める。

   
ぼく

…夢か…。

   
 

ぼくはアクビをする。

   
ぼく

変な夢。(プレゼントを発見し)あ、

   
 

ぼくはプレゼントの紙袋をあける。

   
ぼく

今年のプレゼントは、組み立て式の天体望遠鏡だった。あぁー、靴下にはDSPって書いといたのにな。やっぱなー。文句言ってもどうせ、うちはゲームはさせませんって、言い返されるだけだもんな。DSP。
ほんとはほしくないけど、みんなと遊べなくなるしなー。
変な夢だった‥。ぼくはサンタなんか信じてないし。本当にほしいものなんか、ほんとは無いかもしれない。
でも、今朝見た夢の中。ぼくは何をあんなにほしがっていたんだろう。DSPなんかめじゃない。もっともっと凄いもの。
 何かな?何だろ?

   
 

階段の下からママの声。

   
ママ

マコトー。いい加減おきなさいよー。

ぼく

はーい。

   
 

カーテンを開ける音。

   
ぼく

‥あ、船。

   
 

窓を開ける音。
ママが階段を駆け上がってくる音。ぼくの部屋のドアをガラっとあけて。

   
   
ママ

誠!飛行船だって、空、飛行船、(けれど部屋にぼくはいない)‥あれ?
どこいったの?マコトー。

   
 

ママは窓の外にぼくを発見する。

   
ママ

あ、あ、あ、あなた!誠が、空、空!

   
 

ママは慌てて階段を下りてゆく。

   
ぼく

ぼくは空を飛んでた。両手に翼を広げて。やっぱプレゼント貰ったんだ。
それともまだ夢の続きかな?

   
 

ぼくはしばらく飛ぶことを楽しむ。
街の人たちの驚く声。

   
街の人たち

「おい、なんだあれ」
「お母さーん。人が飛んでる!」
「あれ、マコトくんじゃないの?」
「え?え?え?」
「オラも連れてってケロー」

   
ぼく

気持ちいい‥‥。冬の陽射し。
おなかすくまで、空、飛んでよう。

   
おわり
   
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