ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2016
“物語のはじまりは…”
第2話(2016年12月23日 ON AIR)
「夏」

作・合田団地(努力クラブ)

キャスト 石川 (高校生男子) 大熊隆太郎(壱劇屋)
  長谷部(高校生女子) 寺井幸菜(遊劇舞台二月病)
  後藤 (クラスメート男子) 坂本隆太朗(がっかりアバター)
  山田 (クラスメート女子) 熊谷みずほ
  
 

――祭囃子。

  
石川

みんな、どこ行っちゃったんだろう。長谷部さんどうしよう。捜しに行く?

長谷部

行かない。ここから見てた方が、見つけやすいし、わかりやすいところにいた方が
見つけてもらいやすいと思う

石川

そっか。そうだね

長谷部

あ、電話は?

石川

電話?

長谷部

着信ない? はぐれたの気付いてたら電話くれてるかも

石川

そっか。ちょっと待って。あ、着信きてない

長谷部

私もきてない

石川

みんな、俺と長谷部さんがはぐれたの気付いてないんだ

長谷部

私、電話かけてみるね」

  
 

――長谷部、電話をかける。

  
石川

どう?

長谷部

出てくれない

石川

出ないかあ

長谷部

メッセージ、残しとくね。あ、もしもし。今、石川君と一緒にいるんだけど、
この留守電聞いたら、心細いから電話くださーい。お願いしまーす。よし

石川

誰?

長谷部

みきちゃん

石川

みきちゃんって?

長谷部

あ。山田みきちゃん

石川

山田って、名前、みきなんだ

長谷部

うん。え、なんで?

石川

ううん。別に。知らなかったから

長谷部

そうなんだ

石川

俺も電話しとこう

長谷部

いいんじゃない。私達以外はみんな一緒にいるだろうから、
電話しなくても別に。してもしなくても一緒だよ

石川

まあ、でも、もしかしたら電話気付いてくれるかもしれないし、一応かけとくよ

長谷部

そう?

石川

うん。あー、でも駄目だ。出てくれない

長谷部

誰?

石川

後藤

長谷部

後藤君か。後藤君も気付いてくれないか。留守電残しとく?

石川

いいや。電話来てるの気付いたら、かけ直してくれると思うし

長谷部

後藤君、気付いてくれるの待つしかないね

石川

後藤、気付いてくれるかな

長谷部

私たちがはぐれたのも留守電も気付かないことないと思うんだけど

石川

あ、長谷部さん

長谷部

なに?

石川

心細いの?

長谷部

なんで?

石川

いや、さっき、そう言ってたから

長谷部

え。私、そんなこと言ったっけ?

石川

山田に電話かけたとき、そう言ってなかったっけ?

長谷部

留守電?

石川

うん、そう。留守電でそう言ってたから。心細いの?

長谷部

まあね。心細い

石川

心細いよね。ごめんね

長谷部

なんで、石川君が謝るの?

石川

気をつけてみんなについて行ってたんだけど、目を離した隙に見失ってた

長谷部

だったら私だ

石川

え、なんで?

長谷部

私が石川君に話しかけちゃったからだ。私の方こそごめん

石川

長谷部さんが悪いわけじゃないから謝らないでいいよ

長谷部

気にしなくてもいい?

石川

うん。気にしないで

長谷部

わかった。ありがとう。石川君も気にしないでね。別にどっちが悪いってわけじゃないし

石川

うん。ごめん

長谷部

だから、謝らなくていいって。人、いっぱいだね。
お祭りってこんなに人いっぱいになるなんて知らなかった

石川

長谷部さんって、祭り来たの初めてなんだ

長谷部

うん。近所のお祭りは行ったことあるけどね。
それに私、人混み、そんなに得意じゃなくて

石川

あ、俺も苦手。だから祭りって、一回誘われて来たことあるけどそれ以来、来てなくて。今日久し振りに来た

長谷部

なんで来たの?

石川

今日?

長谷部

うん

石川

今日も誘われたからかなあ

長谷部

後藤君?

石川

そう

長谷部

じゃあ、私と一緒だ。私もみきちゃんに誘われたから来た

石川

誘ったやつがいなくなったんだから、気付いてくれてもいいのにな

長谷部

あ、電話どう? 着信ある?

石川

ううん。着信ない

長谷部

そっか。全然気付いてくれないね

石川

長谷部さん、どうしよう

長谷部

なに?

石川

電話ないし、ずっとここで待ってるのも、なんか嫌じゃない?
せっかくだしさ、二人でいろいろまわらない? いや、人混み嫌なら別にいいんだけど。俺も人混み苦手だから

長谷部

せっかくだし、行こうか

  
 

――二人、人混みの中を歩く。

  
石川

やっぱ人多いね

長谷部

はぐれないように手つないでててもいい?

石川

手?

長谷部

うん。いい?

石川

汗、すごいかいてて汚いよ

長谷部

気にしないよ

石川

じゃあ、つなぐ?

長谷部

うん。はぐれないようにね

  
 

――二人、人混みの中を歩いている。

  
長谷部

石川君、ちょっといい?

石川

なに、長谷部さん

長谷部

ごめん。私、ずっと人混みの中にいるからかな、疲れちゃった

石川

休む?

長谷部

うん

石川

じゃあ、あっちの階段に座るのでもいい?

長谷部

うん。ありがとう」

  
 

――二人、階段に腰をかける。

  
長谷部

ごめんね、石川君

石川

ううん。俺も疲れてきてたから

長谷部

人混み?

石川

うん。俺も苦手だから

長谷部

人、すごかったね。ごめんね。手つないでもらって

石川

なんで謝るの?

長谷部

私さ、はぐれるかもしれないって心配で、石川君の手、ぎゅって握ってて、
痛かったかもしれない

石川

別に全然痛くなかったよ

長谷部

私、もし石川君とはぐれちゃったら、泣いちゃうなあって思った。
こんなに楽しそうな人多いのに一人ぼっちになったら心細くて泣いちゃうだろうなあって。だから、ずっと手をはなさないでいてくれて、本当嬉しかった。本当ありがとう

石川

良かった、はぐれないで

長谷部

あと、石川君にもう一つ謝らないといけないんだ、私

石川

え、なに?

長谷部

私、みきちゃんに電話したじゃん。あれ、してないんだ

石川

え、どういうこと?

長谷部

電話してるフリしたんだ。ごめん

石川

なんで?

長谷部

石川君ともっと話したかったから

石川

そうなんだ。え、後藤は?

長谷部

後藤君のことは知らない。本当に電話したの気付いてないんだと思う、後藤君は

石川

話したかったなら、そう言ってくれたらよかったのに。え、俺と話したかったの?

長谷部

うん

石川

え、俺と。なんで俺と

長谷部

今日、すごい楽しかった

石川

楽しかったなら良かったけど

  
 

――着信音。

  
石川

長谷部さん、ひょとしてだけど俺のこと好きなの?

長谷部

電話きてるよ

石川

え?

長谷部

電話

石川

うん

長谷部

私、石川君のこと好き

石川

え?

長谷部

出なよ

石川

うん」

  
 

――着信音、切れる。

  
石川

あ、もしもし……うん、長谷部さんもいるよ……ここ? ここは、えっと、どこだ?
神社の階段の下にいるけど……わかる?……うん。わかった。はいはーい

長谷部

後藤君?

石川

そう。後藤。ここまで迎えに来てくれるって

長谷部

やっと気付いてくれたんだね

石川

遅いくらいだけどね

長谷部

そう?

石川

別にいいけど

  
 

――大花火の音。

  
石川

花火、突然だったね。きれいだったけど

長谷部

私、今、耳、変だもん

石川

あ、知ってる? この祭りの花火、カップルで見ると別れる伝説あるんだって

長谷部

へえ、そうなんだ。まだ付き合ってないもんね

石川

え、まだって、なに?

長谷部

ううん、別に

石川

俺さ、今日、本当は来たくなかったんだけど、
じつはね、後藤から長谷部さんも来るって聞いて来たんだよね

長谷部

へえ。そうなんだ

石川

長谷部さん、俺のこと好きなんだったら、俺と付き合ってよ。
俺も長谷部さんのこと好きだし

長谷部

え、いいよ。お願いします

石川

今から付き合うから、花火の伝説、セーフだよね

長谷部

わかんないけど、そうだったらいいね

  
 

――後藤と山田が来る。

  
後藤

やっと見つけた

石川

あ、後藤と、あ、山田。なんで二人で来たの?

山田

後藤君から、さなえも一緒にいるって聞いたからついてきちゃった

後藤

ずっと長谷部さんと二人でいたの?

長谷部

うん

後藤

へえ

石川

ていうか、なんで電話出ないの?

後藤

ごめん。気付かなかった

石川

いいけど

山田

後藤君、それ、嘘だよね。気付いてたよね

後藤

まあ、気付いてたけど

石川

え。どういうこと?

後藤

そういう風にした方が空気読めてるのかなあって

石川

いいけど。みんなどこにいるの?

後藤

広場の方にいるから、みんなのところに戻ろう

  
 

――四人、歩き出す。

  
長谷部

みきちゃん

山田

なに?

長谷部

私さ、石川君と付き合うことになりました

山田

へえ、良かったじゃん。あー、でも、花火、一緒に見ちゃったんだよね

長谷部

一緒に見たけどセーフ

山田

え、なになに。どういうことどういうこと

長谷部

一緒に見たけど大丈夫なの

山田

まあよくわかんないけど、おめでとう

  
 

――四人、歩いている。

  
  
  
終わりです。