ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル2004
“正しいクリスマス” 第2話(2004年12月23日 ON AIR)

「七面鳥」

作・上田 誠
出演
男① 坂口 修一
男② 板倉 チヒロ(クロムモリブデン)
男③ 腹筋 善之助
男④ 中村 隆一郎(劇団 Ugly duckling)
アパートの部屋。
3人の男が集まっている
ところへ、ドアが開く。
4人目が帰ってくる。
男④
帰ってきた。
男③
持ってる。
男②
(驚いて)でけぇー。
男④
あれ、七面鳥!?
男①、部屋に入ってくる。
男①
おっらー!(七面鳥の入った袋を、テーブルの上に)
全員
うわー!(テンションあがる)
男③
でっけー!
男①
ターキー。
袋をがさがさとあける。
男②
何、七面鳥ってこんなにでかいの?
男③
予想以上のでかさ。
男④
よく売ってたなー。
男①
もう腕がだるい。(笑って)七面鳥が重くて腕がだるい。
男④
すごいなー。
男②
いいクリスマスになりそうじゃねえかよ。
男④
食いでがあるよなー。
男①
あそこ、並んでたよ。
全員
(軽蔑した感じで)あー。
男③
並んでた?
男①
並んでた。
男③
やっぱ並んでた。
男④
予想どおり。
男①
恋人たちがこう……。
全員
(笑って)うわー。
男②
ああそう。クリスマスだから。
男③
何ていうの、それはもう、妥協だよね。
全員
うんうん。
男②
妥協だね。
男④
確かに、商品としてはしっかりしてるけど、
男①
お手軽だからね。
全員
うんうん。
男③
あれに逃げちゃだめなんだよ。
男②
あれはね。もう逃げだからね。
男③
恋人たちの逃げだから。
男①
クリスマスともう、一切向き合ってないから。
男②
こっちがね、本当のクリスマスだからね。
全員
うんうん。
男①
間違いない。
男③
七面鳥焼いてこそ、真のクリスマスだからね。
男①
意味ないから。そうしないと。クリスマスの。
男④
もともとだって、お祭りだもんね。
全員
うんうん。
男②
そう。儀式だからねぇ。
男④
キリストの生誕を祝う……。
男②
そんな、浮ついたもんじゃないからねぇ。
男①
悪い癖。日本人の。
全員
(笑って)うんうん。
男①
なんか、恋人と過ごしてこそ、みたいなのは。
男②
ずれちゃってるからね。本来の意味と
男④
これでも、どうやって焼く?
全員
うーん。
男③
それが問題だなー。
男①
焼くは焼くよな。
男②
焼くは焼くとして……。
男①
ちょっとじゃあ、持っていこうよ。
男②
キッチンに。
全員、キッチンへ。
男③
(持ち運んで)重い!
男②
何、こんなにでかいの?赤子を抱いているかのような……
男①
(男④に)キッチン、散らかってんだろ。
男④
ちょっとごめん、スペース作るわ。(鍋などを動かす)
男②
お前、片付けとけよ。
男③
重い。
男②
ターキー置くスペース、ねえじゃねぇかよ。
男③
重い。
男①
何、自炊してないの?
男④
してない。
男②
汚いキッチンで……。
男④
(片付け終わって)このじゃあ、まな板の上に。
男③、置く。
全員
わー。
男①
(笑って)でけー。
男②
改めてでかいなあ。
男④
すごい、存在感を放ってるよねえ。
全員
うんうん。
男③
肉感的だー。(ピタピタ触る)
男①
叩くなよ。(男④に)ちょっとじゃあ、オーブンとか、ないの?
男④
ない。
男③
オーブンないの?
男④
ないよ。
男②
オーブンなくておまえ、どうやって七面鳥焼くんだよ。
男①
オーブンなかったんだ。
男④
ないよそんなの。レンジならあるけど。
男②
レンジでお前、どうやって焼くんだよ。狐色に。
男③
あったまるだけじゃねえかよ。
男④
そっか。
男①
オーブンないんだ。もうじゃあ、切って、フライパンで炒めて……。
全員
いや……。
男②
切るのは、違うだろ。それは。
男④
せっかく丸ごとあるのに。
男③
切ったら値打ちがなくなるから。
男①
なるほどな。
男②
このでかさを、生かしていきたいから。
男③
もうじゃあ、丸焼き。こう、くしに刺して、コンロでこう……。
全員
おー。
男②
いいねえ。豪快だねぇ。
男③
こう、肉汁がしたたり落ちてきて。
全員
おー。
男①
いいねぇ、カバブ的なのね。
男③
カバブ方式で。
男②
男の料理みたいな感じで。
男①
(男④に)串は?
男④
串ないよ。
男①
串ないの?
男②
串もないの?
男④
串なんてないだろう、そんな長いの。
男②
あー……。
男①
じゃあもう、鍋に入れて、蒸し焼きにするみたいな。
全員
あー。
男②
ふたしてね。
男①
オーブン効果を狙うみたいな。
男③
周りから熱を加えて
男④
できんの?
男①
分かんないけど、なんかそれが一番近そうだから。
男②
本来の形にねえ。
男①
ちょっとじゃあ、洗おっか。
全員
おお。
男③
丸洗い。
男②
洗った方がいいかもねえ。
男①、水を出して、洗う。
男②
なんか、ぶよぶよしてんねえ。
男①
気持ち悪ー。なんか本当に赤子を洗ってるみたいな。
男②
産湯のような。
男①
そうそう。
男③
いや、これはいいね。まさにガチンコのクリスマスだから。
全員
うんうん。
男②
ガチだね。ガチで行ってるね。
男③
七面鳥焼いてるやつらなんてそういないから。
男①
大体なんか、あれで済ましちゃうみたいな。
男②
妥協してね。
男③
それじゃ逃げなんだよ。
男①
意味を失ってるからね。
男④
これだから、むしろあの恋人たちに見せてやりたいよね。
全員
うんうん。
男①
これがクリスマスだと。
男④
そうそう。浮ついた町の恋人たちに。
男②
これぞクリスマスだと。
男③
見ろと。
男②
間違いないからねえ。
男①
これが正しいクリスマスだから。
男①、洗い終わる。
男②
洗い終わった。
男①
こっからなんだよ。こっからいかにして、このでかい物体を……。
男③
あれは?味付け。
全員
あー。
男④
味付け。
男②
焼く前に味付けだよ。
男①
何だろう。塩コショウとかかな。
男③
コショウは?
男④
コショウない。
男②
お前、何も持ってねえじゃねえかよ。
男④
いやだって、自炊しないもん。
男①
なんでここを厨房に選んだんだよ。俺たちは。
男②
俺の部屋のほうが良かったじゃん。
男③
あれは?粒コショウ。
男④
粒コショウ?
男③
こうなんか、擦るやつ。大航海時代に高く取引されたやつ。
男②
ないだろう。
男①
コショウないのに、粒コショウないだろう。
男④
・・・・・・。
男①
え、あんの?
男②
粒コショウあんの?
男④
・・・・・・ない。
男②
ないんじゃねえかよ。
男③
なんで黙ってたんだよ。
男④
あるわけないからだよ。
男①
じゃああれは?醤油は、ちがうかなあ。
男③
違うねえ。
男②
和風になっちゃうからなあ。
男①
あー。
男③
和風の感じは、できるだけ排除していきたいから。
男②
クリスマスだからねえ。なんと言っても。
男④
ソース。こう、ウスターソース。
全員
いやいや・・・・・・
男②
お前ソースは違うだろう。
男①
ソースは話が変わってくるからなあ。
男④
話?
男③
ソースの味になるから。
男①
ソースがうまいみたいな。
男④
あー。
男③
ソース最高説。
男②
今回は、どっちかっていうと、素材の味を生かしていきたいので・・・・・・。
男①
ま、塩だな。
全員
うんうん。
男②
それしかないからねえ。
男①
塩をこう、七面鳥に刷り込んで。
男②
あー、あらかじめ。
男③
それじゃあ、俺やるわ。
男①
おお。
男④
塩これ。(渡す)
男④、刷り込む。
全員
(見て)あー。
男①
いいねえ。いい感じだねえ。
男②
なじませてね。
男①
そう。その感じ。いいねえ。
男③
こうだろう。(もみ続ける)
男④
七面鳥って、なんで七面鳥って言うんだろう。
男①
あー。
男②
なんだろう、七面?
男①
七つの顔。七つの顔ね。
男②
(笑って)なんか、七面性があったんじゃねえの?
男④
七面鳥に?
男②
七つの顔を持ってたんじゃねえの?
男①
(ノッて)すごいね。人間でも、大体2面性までなのに。
男③
大体、やさしさと、厳しさみたいな。
全員
うんうん。
男①
そのぐらいだよね。
男②
(笑って)さらにあと5面あるからねえ。
男①
何だろう。ずるさとかかな。
全員
(笑う)
男②
ずるさね。
男①
ずるい鳥。
男③
あと。純粋さ。
全員
(笑う)
男①
逆にね。
男②
ずるさと純粋さを併せ持ってるっていう。
男③
そういう鳥。
男④
あとあれ。あの少年っぽさ。
全員
あー。
男②
意外だねえ。意外な一面をもってる。
男④
元気に飛び回るっていう。
男③
そういう一面ね。
男①
それでいて、渋さな。 
全員
うんうん。
男②
渋さもあるよね。
男①
なんか、思慮深い感じの。
男④
大人の魅力がこう・・・・・・。
男③
最後、エロさ。
全員
(笑う)
男①
最後な。
男②
エロさ。
男③
ベッドの上でも魅力的っていう。
男②
夜の顔を持ってるっていう。
男①
最高の鳥じゃん。
男②
実にさまざまな魅力にあふれた・・・・・・。
男④
食べるのがもったいないぐらいの。
男②
それに引き換え、俺たち何にもないからねえ。
全員
(笑って)うーん。
男①
なんもない。
男③
エロさだけあるからねえ。
男④
(笑って)そこだけ。
男①
あと何もない。
男②
七面鳥の方がよっぽど、魅力にあふれているっていう。
男③
まあまあ、反省してもしょうがないから。
男②
まあね。
男③
今日は聖なる日だから。
男④
そうだね。
男①
キリストを祝う日だから。
男④
エロさとか、そんなのあれだから。
男②
煩悩はね。今日はおいといてね。
男④
(男③に)とか言いつつおまえ、手つき怪しくない?
男③
何が?
男④
七面鳥をもむ手つき、怪しくない?
男③
そんなことないよ。普通だろう。
男②
ちょっとやらせろよお前。俺にも。
男④
俺もやりたいよ。
男③
この辺なんかねえ、すごいいいんだよ。
男②
どこ?
男④
この辺。
全員
(触って)あー。
男①
いいねえ。
男②
実にいい弾力返してくるねえ。
男①
肉感的なこう・・・・・・。
男②
劣情をもよおしてくんねえ。
男④
バターとかいる?
男③
バターあんの?
男④
バターある。(取りに行く)
男①
バターはあるんだ。
男②
ぐっちゃぐちゃになってんじゃん。
男①
何のクリスマスだよ。

終了