ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル2009
“あると思います?!物語”

第2話(2009年12月23日 ON AIR)
ゆきになるうた

作 /山内直哉

キャスト 少年(砂川/すながわ・小学3年生) 森正吏(維新派)
  少女(坂上/さかうえ・小学3年生) 坂口ゆい(劇団SE・STU・NA)
  先生(少年少女の担任の先生)&
回想シーンの父親
腹筋善之介
  歌手(ギター弾きのお姉さん) 優希
 

 

ブランコに乗っている少年と少女
公園の片隅からギターの音と歌声が聴こえる
遠くで“オリジナルソング”の練習をしているお姉さん

   
少年

この公園、楽器演奏していいんだっけ

少女

ダメなの?

少年

だって前、リコーダーの練習してたら怒られたから

少女

それは、下手だったからでしょ? あの人は上手いもん

少年

ブランコ、グルグル巻きにすんぞっ

少女

私もあんなギターほしいなあ。クリスマスプレゼントに買ってもらおっかな

少年

もう遅いだろ

少女

何で?

少年

何でって、サンタクロース来るの、今晩じゃん。一週間前には頼んでおかないと

   
 

少女のブランコが止まる

   
少年

俺はもうゲーム頼んだから、明日の朝には(と、期待に悶えて)え、ひょっとしてまだ頼んでないの?

少女

   
 

少年のブランコが止まる

   
少年

…何?

   
少年

今から先生に聞いて、もし、サンタいたら、おまえ、罰ゲームだからなっ

少女

はあ?

少年

先生がもし、サンタいるって言ったら…あの公園のグルグル回るやつで10回転して、ジャングルジムのてっぺんで手放し10秒!

少女

死ぬわっ、そんなのっ

少年

お父さんがサンタクロースとか、意味分かんねえしっ

少女

罰ゲームとか、意味分かんないしっ

少年

嘘ついた罰だろ

少女

嘘じゃないって

少年

嘘に決まってる

少女

じゃあ、砂川くんも罰ゲームやってよ? 先生がいないって言ったら

少年

ああ、いないって言ったらな!!

   
 

教室のドアの開閉の音
静まりかえった教室

   
先生

どうぞ

少年

はい

先生

冬休みなのに、よく先生いるって分かったな

少年

終業式の日に言ってましたよ

先生

あ、そうだっけ

少年

仕事が溜まってるからナントカって

先生

ああ

少年

で、相談なんですけど

先生

おお、どうした

少年

実は…

少女

ちょっと待った。私が聞く

少年

え?

少女

実は…C組の友達のことで相談なんですけど

少年

は?

少女

はあっ?!

少年

…何だよ

少女

C組でしょ?A組?

少年

C組…

先生

C組の誰?

少女

あ、それは…

先生

ああ、まあ、いいけど。で?

少女

で、実は、その友達、まだサンタクロースを信じてるみたいなんです。いないのに

先生

ほお…

少女

それで、ホントのことをどうやって教えてあげたらいいのか、砂川くんと話し合ってたんですけど、難しくて

先生

ほお…

少女

言ってあげた方がいいですよね?? もう3年生だし

先生

坂上は、いないと思うの?

少女

はい。私も砂川くんも、もうサンタクロースはお父さんだと分かってます

先生

そうかあ…でもなあ、ホントのこと言う必要ないと思うなあ。その、3年生だからってのも、別に大人になっても信じていてもいいと思うしなあ

少女

でも、サンタなんていないじゃないですか

先生

いや、そうなんだけど…何て言うか

先生

でもさあ、坂上も砂川も最初は信じていたんだろ?

少年

先生、ありがとうございました

先生

はい?

少女

今日は、ありがとうございました

先生

えっ?

少年

さようなら

少女

先生、さようなら

先生

おい、待て待て待て待て、えっ??

   
 

教室のドアを開ける音
教室を飛び出す少年
少年を追いかける少女
廊下に先生の声が響く

   
 

シーソーに座っている少年
公園の片隅からギターの音と歌声が聴こえる
遠くで“きよしこの夜”の練習をしているお姉さん
歌詞(1番)きよしこの夜/星はひかり/すくいのみ子は/まぶねの中に/ねむりたもう/いとやすく
   (2番)きよしこの夜/み告げうけし/ひつじかいらは/み子のみ前に/ぬかずきぬ/かしこみて

   
少女

ちょっと、シーソーに座ってる場合じゃないでしょ?

少年

そっち座れよ

少女

グルグル10回転してジャングルジムの上で手放し

少年

殺す気か

少女

そっちが言ったんでしょ

   
 

シーソーに座る少女
シーソーが傾く度に古い木の音が軋む(ギイ…)

   
少年

なあ

 

ギイ…

少女

何?

 

ギイ…

少年

お父さんがサンタってことはさあ、今まで親が嘘ついてたってこと?

 

ギイ…

少女

まあ

 

ギイ…

少年

そっかあ…

 

ギイ…
ギイ…
ギイ…
ギイ…

少年

罰ゲーム、ちょっと待って。もう一人聞いてから

   
 

“きよしこの夜”の練習をしているお姉さん
少年と少女が声をかける

歌手

(3番の最後)ほがらかに~

少年

あの、すみません

歌手

はい

少年

ちょっと聞いてもいいですか?

歌手

はい

少年

サンタクロースっていますか?

歌手

え?

少年

正直に教えて下さい

少女

すみません、私たち、サンタがいるかいないかで勝負していまして、それでちょっと聞いてみようってことになりまして

歌手

ああ、そういうことね

少年

“サンタはいるよ”っていう歌、唄って下さい

少女

そんな歌ないし

少年

あるでしょ? ない?

   
 

ギターをポロンと鳴らすお姉さん

   
歌手

じゃあねえ、本当のクリスマスソングを唄ってあげる

少年

おおっ! はい、本当のやつをお願いしますっ!

歌手

“きよしこの夜”っていう歌

   
 

ギターの弾き語りで“きよしこの夜”を唄うお姉さん
歌詞(1番)きよしこの夜/星はひかり/すくいのみ子は/まぶねの中に/ねむりたもう/いとやすく
   (2番)きよしこの夜/み告げうけし/ひつじかいらは/み子のみ前に/ぬかずきぬ/かしこみて

   
少女

あ、この歌…

   
 

歌に少女の回想シーンが被る
教会に響く歌声(お葬式)

   
少女

ねえ、おじいちゃん、どこに行ったの?

父親

おじいちゃんはね、サンタさんになるんだ

少女

次、いつ会える?

父親

もう会えないんだ。でもね、信じて待っていれば、クリスマスの日にプレゼントを持って来てくれるよ

   
 

公園のベンチに座っている少年と少女
お姉さんの唄った“きよしこの夜”がまだ頭の中に流れている

   
少女

私、思ったんだけど…サンタクロースって“いるかいないか”じゃなくて、“信じるか信じないか”じゃないかなあ

少年

え?

少女

砂川くんは信じていたからいたでしょ? 私は信じていなかったからいなかったの

少年

それはつまり、いないってことだよね

少女

それはつまり、いるかもしれないってことだよ

   
 

その時、雨が降り始める

   
少女

あ、雨…

少年

うわっ…

少女

どこか、屋根のあるトコに…

少年

じゃあ、俺の秘密基地、来る?

少女

秘密基地? どこ?

少年

あそこ。歌のお姉さーん、こっちこっちー! 秘密基地ーっ!

   
 

公園の遊具の“お山のトンネル”の中
トンネルの中に声が響く

   
少年

どうぞー

歌手

ありがと

少女

ねえ、ココが秘密基地?

少年

うん

少女

お山のトンネルじゃない

少年

そうだよ

少女

誰でも入れるし

少年

…あの、狭いですけど、ゆっくりして行って下さい

歌手

ありがと。ところで、さっきの勝負どうなったの?

少年

勝負は…引き分け

歌手

引き分け?

少女

はい、引き分けです

   
 

ギターの弾き語りで“ホワイトクリスマス”を唄うお姉さん
ギターの音色と歌声がトンネルに響く
歌詞(1番)I'm dreaming of a white Christmas/just like the ones I used to know./Where the tree's tops glisten/and children listen/to hear sleigh bells in the snow.
(2番)I'm dreaming of a white Christmas/with every Christmas cards I write./May your days be merry and bright./And may all your Christmases be white.

   
 

歌にモノローグが被る

   
少女

「お姉さんは“大人になった二人に”って、歌のプレゼントをくれました」

少年

「僕らは、外が雪になるまで語り合いました」

先生

「そして私は、冬休みの職員室で一人、子どもたちの相談がいったい何だったのかフワフワしながらも、サンタクロースのいた頃を思い出していました」

   
   
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