ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル 2002
“天使のいる風景”


2話
「 羽根枕 」
作 / 深津篤史
出演 森下亮(クロムモリブデン)
  平野舞

男   ちょっと休ませて

女   ってまた休憩ですか

男   いや実際やっとられんって

女   けど

男   一服だけ、一服

女   私は正規の休憩時間ですからね

     男、タバコに火をつけ

男   ヒマなんよ

女   はい

男   実際、この時間てオーダーも通らんし

女   ええ

男   ドリンクバーの客ばっか

女   まあ、そうですけど

男   じっと立ってるでしょ

女   店長

男   いらっしゃいませ、いうて

女   はい

男   ご注文は何でしょうか、ドリンクバー、ドリンクバー、ドリンクバー

女   はいはい

男   ちっとももうからん、ゆうねん

女   そうですね

男   いや、普段はええんよ、普段は

女   はあ

男   このご時勢やからね、お客様は神様、ドリンクバー、手間かからんしね

女   今日は

男   そう、そこよ、じっと立ってるでしょ

女   はい

男   なんかね、むかつくんよね

女   カップル?

男   イタめし食ってシティホテルやろ

女   また

男   少なくとも僕が、女の子のケツ、おっかけてた時分はね

女   イタめし食ってシティホテルですか

男   そう、そういう奴がもてたんよ

女   店長は

男   雑誌でよんでたクチやね

女   やっぱり

男   もう目一杯勉強してね、勉強したんやけどカンジンの相手がおらん

女   はあ

男   おったらおったで先立つものがない

女   全然ダメじゃないですか

男   いっぺんね

女   したんですか

男   知り合いの親御さんがオカマバーやっててね

女   何の話ですか

男   いや、で、頼みこんで一晩だけ働かせてもろたんよ学生の時

女   そういうシュミですか

男   ちがう、ちがう、 X'mas のデート資金。一晩で幾らやったかなあ

女   へえ

男   僕、女が好きなんよ、女が

女   力説しなくていいです

男   たまらんかったね、あれは。おねえことばでおこられるとたまらんよね
     おすぎとぴーこ、あれ、僕が映画カントクでも街角のお姉ちゃんでもいややね、
     同情するね、ほんま

女   で、行ったんですか、イタメシ

男   いや、創作料理

女   創作?

男   創作…居酒屋

女   何か、ビミョーですね

男   まあ、うん

女   シティホテルは

男   ラブホテル。けど鏡とかない、おちついたやつ

女   はあ

男   ベッドの周りが何故かタタミやねん

女   はあ

男   おフロに浮世絵

女   ああ

男   プレゼントは

女   はい

男   木彫りのブローチ

女   ビミョーですね

男   うん

女   うまくいきました?

男   まあ、それなりに

女   ビミョーですね

男   けどファミレスはないやろ

女   ああ、そこにつながるんですね

男   ドリンクバーはないやろ、ドリンクバーは

女   幸せそうやからいいじゃないですか

男   ドリンクバーよ、ファミレスよ。男なら

女   男なら

男   イタメシ、シティホテルを夢みて

女   夢みて

男   創作居酒屋にラブホテル

女   木彫りのブローチ

男   そうそう

女   どっかでごちそう食べた後かも知れませんよ

男   ああ

女   それに X'mas やからって特別な事せんでもって人かも知れへんし

男    X'mas やで

女   仕事してる私らよりは幸せでしょう

男   タブーやね、それは

女   タブーですね はい

男   というとやっぱり君も

女   何でしょうかね

男   うん

     女、横になった

男   ちょっと、ちょっと

女   あと 10 分あるんで休憩時間

男   ああ

女   寝ます

男   フテ寝?

女   うるさい

男   いや、ごめん、ごめん

女   いえ

男   ケーキでも持ってこよか

女   余計にムナシイです

男   うん

女   あのね、店長

男   ん、何

女   マクラないですか

男   クッションやったら

女   クッションてそれ、ざぶとんじゃないですか

男   毛布もあるけど

女   いいです

男   ええと

女   クッションください

男   うん

女   先週彼氏と大ゲンカしたんです

男   また、間の悪い

女   え

男   いえいえ

女   もう、ボッコボコ

男   はあ

女   きれいやった

男   え

女   彼氏の出て行った部屋。お昼の日差しがさしこんだ部屋、一人ぼっちの私。

男   うん

女   破れたハネマクラ

男   ハネマクラ

女   フワフワしてもうもうしてきれかった。何か、教会の絵みたいて思った

男   やさしいいんや、君

女   え、なんで

男   だってハネマクラでボッコボコやなんて。うん。

    女、少し笑った



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